iPS細胞で心臓病の治療治験申請へ 阪大の研究グループ
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阪大の澤先生のチームは以前から心筋シートの研究を進め、自己の骨格筋細胞を培養して作ったものを移植する「ハートシート®︎」として国内ではすでに保険償還されています。
ただし、効果がある人とない人がいると考えられており、まだまだ評価も定まっていません。
同様のものをiPS細胞で作ることで、骨格筋細胞ではなく心筋細胞(生物選択の方にはわかる同じ横紋筋)由来のものが作ることができます。
以前に動物実験レベルですが、自己拍動する心筋シートはマウスの心筋梗塞を起こした心臓に移植することで、その心臓と同期して拍動することが示されています。(電気的な接続が行われるようです)
骨格筋より心筋由来の方が良い成績を出せる可能性もあります。もちろん逆もありえますが。
また、ふとももから筋肉を採取する負担が減り、また培養を待つ必要もなくなることが期待されます。
期待される再生医療がまた出てきましたね。iPS細胞治療は、壊れてしまった身体の一部を修復するのに有用だと考えられます。原因治療と組み合わせることにより、効果は最大化します。
例えば、先に発表されているパーキンソン病の場合には、iPS細胞により変性してしまった神経細胞を置き換えることができ、一時的に症状の改善が見込めるものと考えられます。しかし、肝心の変性の原因を食い止められなければ症状は再燃する可能性があります。
心筋梗塞により心臓の筋肉の一部が死んでしまった場合には、従来では、そのまま心臓のポンプの働きが落ち、心不全と呼ばれる病態をきたしていました。ここにiPS細胞で新たな心臓の筋肉を補うことで、この心不全の発症を抑えることが期待されます。
加えて、心筋梗塞の場合には、先のパーキンソン病とは異なり、原因に対するアプローチとして、心臓の周りを流れる冠動脈の修復治療ができます。この根本的な原因治療とiPS細胞による修復を組み合わせることで、心臓を健康な時の状態に戻すことが期待できます。心筋梗塞は致命的でコモンな病気ですが、一度起きてしまうと一部の心臓の動きがなくなり、うまく血液を体に送ることが出来なくなって心不全を起こしてしまいます。その際、利尿剤などによる体液のコントロールでしか治療はできません。
心筋梗塞にもこのシートが有効となれば、世界に劇的な変化をもたらすかもしれません。試行錯誤を繰り返し、有用性を高めていかれるのを期待します。