目の前の患者に優先順位をつける…「トリアージ」をめぐる諸問題
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注目のコメント
限られた医療資源を最大活用するために、トリアージは有効な手段です。記事を読んだ方に、トリアージの議論が患者の年齢や寝たきりという背景で語られてしまいそうなことを懸念します。
トリアージで優先されることは、血圧や脈拍といったバイタルサイン、肉眼で確認できる出血、やけど、骨折、どのぐらいのエネルギーで怪我が起こったかといった情報で、これらの情報を重視して緊急性を判断します。DMATなどの特殊チームは一貫した評価尺度を持っており、チーム間で判断がぶれることをなるべく避けようとしています。もちろん、評価軸は完全ではなく、評価した時点ではバイタルサインが安定していたものの、数十分後に不安定化する、ということもあります。理想郷では経時的な再トリアージが求められますが、大災害などの際には限界があります。
また、文化として、重症者を低く見積もってしまうアンダートリアージよりも、病状を重く評価するオーバートリアージの方がマシというのは浸透しており、米国の学会は、その許容率は前者は50%までとしているものの、後者は5%までとしています。
それでもなお、5%は生じるものです。
私も震災後の現場で仕事をしましたが、多くの医療者は無償で日夜仕事をします。また、現場で話をすると、目にしたものを語りながら涙を流す方も多く、身体的のみならず心理的な負担も非常に大きいものです。
もちろん、医療者は常に最善を尽くすべきで、トリアージはより洗練され続けるべきです。しかし、私が医師だからかもしれませんが、そのような背景と、限られた時間、資源の中での評価の限界を考えると、現場での医療者は最大限守られるべきと思います。黒タグは付ける方も心を擦り減らし、付けられた方(患者というより家族)も辛い思いをします。
ですので、この場合、両方の心と身体のケアが重要なことは以前から言われています。
また、当然ですが災害の予防と対策が重要な気がします(天災は仕方ないにせよ)。
実際のところはわかりませんが、川崎の事件においてもどこかもっと早いところにターニングポイントがあったのかもしれません。
一方、アンダートリアージについても、山田さんがコメントされている通り、オーバーにトリアージする傾向を取り入れてもそれでもアンダーになることがあります。
それを極力失くすためには繰り返しトリアージするしかありません。だから帰宅指示を出した患者さんにも、帰宅前にもう一度状態の評価をしますし、帰宅した後もどういった状態や症状なら再診した方が良いか説明します。全部はやはりカバーできないのですが、救急外来でも一般外来でも退院時の説明でも同じです。
ただ、、、どれだけ気をつけていてもなお、我々医療者側も「まずありえないけど、もしかしたら◯◯だった可能性があるか!?」といったことが頭をよぎりながら日々診療をしています。。。こういったところこそ、将来的にデジタル/ITの力を借りて欲しいですね
その場にいる方の生体情報と医療チームの情報から、
誰が、どなたを、どうやって処置すると最も多くの命を救うことができるのか、
アシストしてくれるシステムなどできればいいのになーと
漠然と思いました。
混乱する現場で冷静に判断すること、膨大な情報を整理すること、はAIや機械の得意とするところではないでしょうか