【警鐘】「GAFA税」に注目すべき、これだけの理由

2019/7/1
Google、Apple、Facebook、Amazonの頭文字を取った「GAFA」に代表される巨大IT企業が、国家と企業の税金を巡る関係を大きく変えようとしている。
モノからデジタルサービスへの転換、プラットフォームという新たなビジネスモデル。GAFAら「デジタル経済」の勝者は、各国の税制度の“隙”を突いて、タックスヘイブン(租税回避地)なども活用した節税スキームを開発し、可能な限りの“税逃れ”をしている。
OECD(経済協力開発機構)の試算では、全世界の法人税収の4〜10%に当たる年1000億〜2400億ドル(10兆〜24兆円)を失わせている。
そして今、「政府vs巨大企業」という構図さえでき始めているのである。
こうした状況に、元財務官僚で税務の権威、森信茂樹・東京財団研究主幹は、国家権力の一つである「徴税権」が成立しなくなれば、国家の枠組みさえ崩壊させる危険性もある、と警鐘を鳴らす。
これから、国家と巨大IT企業の税金の在り方は、どうなっていくのか。森信氏が解説する。
森信茂樹(もりのぶ・しげき)東京財団政策研究所研究主幹、中央大学特任教授、財務省財務総合研究所特別研究官。1950年、広島生まれ。1973年、京都大学法学部卒業後、大蔵省(現・財務省)に入省。主税局調査課長、東京税関長、財務総合政策研究所長などを経て現職。近著に『デジタル経済と税 AI時代の富をめぐる攻防』(日本経済新聞出版社)(撮影:是枝右恭)