【振り返り】福岡が「起業に最適」な理由とは

2019/6/22
 2014年11月から5年弱、日本IBMスポンサーの「イノベーション」タブでは、世の中を驚かす最先端技術や、常識を破る企業の挑戦の数々を伝えてきた。そのイノベーションタブがこの6月で、幕を閉じる。
 NewsPicks Brand Design では、イノベーションタブに掲載された記事を振り返る特集を企画。5年間で起きた技術の進化、社会の変容を顧みる。今回のテーマは、「地方×イノベーション」の潮流だ。

福岡市、開業率全国1位

 地方の人口減少が深刻さを増すにつれ、地方創生の言葉を耳にする機会も増えてきた。少子高齢化など、苦しい状況を抱える地域も多い一方で、福岡市は開業率全国1位(2017年)を誇るなど、勢いあるスタートアップを生み出す地域も出てきている。
 そんな中、日本IBMは「地方×イノベーション」を軸に、多様なプロジェクトに先駆けて取り組んできた。地方の課題解決に向けた「スマーター・シティーズ・チャレンジ」や、九州でイノベーションを創出する「イノベートハブ・九州」などが、その代表例だ。
 日本IBMは、地方をどのようにアップデートしてきたのか。NewsPicks Brand Designでは2016年からその様子を追いかけてきた。取材したスタートアップは、どのように成長を遂げたのか。その変遷をたどる。

1. なぜ今「オープンイノベーション」なのか

「1社単独では限界の時代」。
 2016年に始まった、九州でのイノベーション創出プロジェクト「イノベートハブ・九州」。そのプロジェクトを牽引してきた、日本IBM古長由里子理事の言葉だ。
 最近では、「IBM Garage」を通じて、顧客との共創や他社との協業を加速させている日本IBM。言わずとも知れたグローバル大企業が、オープンイノベーションに踏み切る理由、それを地方で仕掛ける理由は、何だったのか。オープンイノベーションの潮流への理解が深まる1本だ。
「九州×ハッカソン」始動、IBMが地方に挑む理由

2. 福岡は日本の「西海岸」になるか

 2014年に国家戦略特区に選ばれ、2017年の開業率1位。多くのスタートアップを輩出する福岡市で最も成功したスタートアップと呼ばれているのが、ヌーラボだろう。
 同社のプロジェクト管理ツールである「Backlog」のユーザーは100万人を突破(2018年8月)という好調ぶり。オンライン作画ツールである「Cacoo」は、約9割が海外からの利用だという。
 本記事は、福岡市グローバルスタートアップ課長の的野浩一氏と、ヌーラボCEOの橋本正徳氏が、2016年に語ったインタビュー。同市がスタートアップカフェを始めた経緯や、当時の橋本氏が描いていた未来予想図を、振り返る。
キーパーソンに聞く「福岡は日本の“西海岸”になるか」(前編)

3. 「越境」が起こす化学反応

 日本IBMが2016年スタートした、「イノベートハブ・九州」。当時福岡市で開催されたハッカソンには、国立台湾大学の大学院生ら精鋭チームの姿もあった。
 本記事は、台湾政府と提携を結んでいるベンチャー企業である「ハタプロ」と、台湾チームの参加を後押しした台湾工業技術研究院(ITRI)に所属する蔡淑瑜氏のインタビューだ。
 ハタプロは、マーケティング支援に特化したフクロウ型AIロボット「ZUKKU」を提供する、ロボティクスカンパニー。2017年には、台湾政府系企業と独占契約を結び、インバウンドソリューションを提供している。ハタプロが台湾政府と提携する戦略の意図を探った。
「日本×台湾」で創る、国境を超えたイノベーションの試み

4. 「民間×行政」の観光改革とは

 日本を訪れた外国人の数は、2018年に初めて3000万人を突破。7年連続で外国人観光客数が増加しているが、地方の観光地は必ずしもその恩恵を受けているとは言い難いのが現状だ。
 山形市の観光事業部門と日本IBMが、異色のタッグを組んだ事例を紹介しているのが、本記事。各都市が抱える課題解決を支援する、日本IBMの「スマーター・シティーズ・チャレンジ」の一例だ。
 地方の観光事業が向き合うリアルな課題に、日本IBMは何を提供できるのか。日本IBMは、そのプロジェクトから何を得るのか。地方創生の現場に迫った。
「民間力」で変革。「観光」をモデルチェンジする山形市

さらに加速するオープンイノベーション

 NewsPicks Brand Designでは2016年から日本IBMの地方での取り組みやオープンイノベーションを追いかけてきた。
 日本発の革新的事業の創出を目指し、日本IBMが推進しているスタートアップとの共創プログラム「IBM BlueHub」は、2014年に始まりすでに5期まで実施し、今は6期の準備中だ。オープンイノベーションの取り組みはさらに加速していくだろう。
 ご紹介している記事は過去のものであり、登場する人物の肩書や組織は掲載当時のものです。
(構成・編集:金井明日香・久川桃子、デザイン:九喜洋介)