【瀧本哲史】「努力が報われること」は絶対にやってはいけない

2019/6/1
エンジェル投資家、経営コンサルタントの顔を持ち、京都大学客員准教授を務める瀧本哲史氏は、2011年にベストセラーとなった著書『僕は君たちに武器を配りたい』で、今後ビジネス人材の「コモディティ化」が進行すると警鐘を鳴らした。
2020年まであと1年と迫ったいま、瀧本氏に改めて「脱コモディティの人生戦略」を聞いた。(全3回)

「コモディティ」という概念

──瀧本さんが8年前に書かれた著書『僕は君たちに武器を配りたい』のテーマは「脱コモディティ化」でした。同書では「日本人で生き残れる4つのタイプ」としてマーケター、イノベーター、リーダー、インベスターを挙げられていましたが、瀧本さんは当時と現在を比較してどのように感じられていますか?
瀧本 当時と状況はあまり変わっていないと思います。『僕は君たちに武器を配りたい』は大学生くらいを対象に執筆しましたが、そんな彼らに「君たちはこれからどう生きるのか」を考えてほしいと思って書きました。
本を書くなら、数十年単位で価値があるものを書かないと意味がないと思って書いたので、当時と状況が変わっていないのは想定内です。基本的には今後も同じ流れは続くでしょう。
でもこの本をきっかけにして、みんなが「コモディティ」という概念を意識するようになったのかもしれません。
この本には、弁護士などのプロフェッショナル人材も「コモディティ化からは逃れられない」という話を書いたのですが、みんなピンとこないのかなと思っていたところ、実際に本書を読んだ弁護士の多くが、「まさにその通りだ」と同意されました。
企業法務革新基盤という弁護士業界を革新する会社をつくるために沢山の弁護士にインタビューしたのですが、日本の4大法律事務所に行くような人ですら、そのように感じているようです。