【新】新しい「数学の教科書」をつくろう

2019/5/13
次の問題を見てみよう。
懐かしい!と思われる読者も多いかもしれない。これは、高校数学で学ぶ「二次関数の決定」という単元の、よくある問題だ。
あなたがこの問題を解けなかったとして、その「原因」はどこにあるとみるべきだろうか。考えられるのは大きく2つ。
1つは、それ以前の他の単元でつまずき、理解不足に陥っていること。
もう1つは、その問題だけが難問か、良問でなかったことだ。
しかしほとんどの「教室」では、こうした原因が振り返られることはない。
そして、あなたがたまたま風邪をひいて学校を休んでしまい、この問題が解けないままでも、先生は待ってはくれない。授業は前に進んでいくばかりだ。
なぜか。それは、一人の先生が、数十名の生徒全員に教える「一方通行の教育」が、今もなされ続けているからだ。そしてその風景は、150年前から何も変わっていない。
今、これを大きく変えようと奮闘する、一人の人物がいる。稲田大輔。三井物産を経て、2017年に教育テックスタートアップ「atama plus(アタマプラス)」を創業した起業家だ。
本日5月13日、ジャフコとDCMベンチャーズからシリーズAラウンドで約15億円の資金調達を実施し、累計約20億円を調達したアタマプラスに、NewsPicksは注目。全3回にわたり、彼らの真贋を見極めていく。
第一回の本日は、彼らが刻々とアップデートし続ける、「新しい教科書」の秘密に迫る。
稲田大輔(いなだ・だいすけ)アタマプラス代表取締役
1981年生まれ。東京大学工学部卒業、同大学院情報理工学系研究科修了。在学中に東大アントレプレナー道場第1期優秀賞を受賞。三井物産へ入社し、新規事業を立ち上げた後、通算5年間にわたるブラジル駐在、ベネッセブラジル執行役員、海外Edtech投資責任者、三井物産の日本国内教育事業統括等を歴任。2017年4月にアタマプラスを創業。
問題は、高1の「2次関数」だ
4月下旬の夜。東京・門前仲町のとある塾には、中学生から高校生まで6名の生徒が集まり、せっせと勉強をしていた。
どの生徒も向き合っているのは、iPadと紙のノートだ。
「講義動画が0.5倍速から2倍速まで、0.1単位で細かくいじれるのがすごくいい。自分のペースで学べるし。」
と、高3の女生徒は満足げに話してくれた。彼女の場合、1.1倍速がお気に入りのスピードだ。
ここは、アタマプラスが自前で運営する塾「.study(ドットスタディ)」。同社が提供する学習アプリ「atama+」の新機能をテストドライブしたり、生徒が何かで引っ掛かっていないかを、常に観察し続けているラボだ。
このアプリは、生徒一人一人の「つまずき」などのデータを、「アタマ先生」と呼ばれる人工知能(AI)が分析し、一人一人に合った「自分専用レッスン」をつくることで、学習を効率化する、というものだ。
稲田 僕らの強みの1つは、自前で塾を持っていること。世界を広く見渡しても、現場を持っている教育テックスタートアップって、ほぼいないんじゃないかと思う。
僕らの直接的な顧客はあくまで塾・予備校です。自分たちでこれを経営したいわけじゃない。
だけれど、アプリユーザーのフィードバックをなるべく早く得ることが大事。できるだけ近くに生徒というユーザーを持ちたいというのは、自然な成り行きです。
僕らがここで何を観察し、どう開発につなげているか。
ある日、現場で「2次関数につまずいている生徒がいるな」ということを発見する。あるいは、現場の先生方にヒアリングをしていると、「2次関数に詰まる子、多いんです」という声がある。
まず、この「2次関数ができない生徒がいるようだ」という気付きから、全てが始まります。