【Netflix CEO】改良とイノベーションの違いを認識する
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5月に開催された富士通フォーラム2019で、米コンサルティング会社イノサイト(Innosight)のシニアパートナー、スコット・アンソニー氏の講演を聞きました。そこで同氏はオープンイノベーションについて、現在と未来の2つの方向性を見据えたデュアル・トランスフォーメーションの経営戦略を強調し、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の成功事例などを挙げていました。
「カイゼン」という単語がそのまま英語で使われているように、カイゼン活動は日本企業の得意とするところ。ただ、製品やサービスのカイゼンを地道に重ね、顧客の信頼を勝ち得ているうちはいいとして、いずれ全く新しい技術やアイデアが実用化され市場環境もガラリと変わって…という「ちゃぶ台返し」が起き、それまでの市場を失うケースが結構あったりします。コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化を背景に100年に一度の大変革と言われている自動車産業がまさにそう。
ヘイスティングスCEOの「まず本業を大事に」という主張の中には日々のカイゼン・改良努力も入っているかと思いますが、一方で変化の大きい時代だけに、企業としては先々のトレンドを読みつつイノベーションの芽に目を凝らす必要がある。その上で新事業の創出や戦略提携、M&Aに取り組むことがより重要になってきています。
注目のコメント
既存ビジネスの改善ではなく、パラダイムの転換であることに気づけるか。
気づくだけでなく、その転換にどう実現するのか。
宅配DVDビジネスとして始まっているところに、凄みを感じます。
「Netflixも宅配DVDビジネスを20年間改良し続けていたら、失敗戦略になっていたでしょう。技術基盤が変化して、動画のストリーミング配信が可能になりつつあったからです。
動画配信が可能になった今、インターネットテレビは今後50~100年のパラダイムになると私たちは考えています」ドラッカーを読むと、企業の役割はマーケティングとイノベーションであると書いてありますが、その中でイノベーションの例として「エスキモーに冷蔵庫を売った話」が出てきます。食べ物を冷やすためではなく、凍らせないための製品だったと。
Netflixが創造したものは何だったのかと考えてみると、すでにあった技術や能力を使いながらも、サブスクリプション型のコンテンツストリーミングという新しいサービスと、そして、その顧客であったと言えます。
コダックのライバルがインスタグラムであったように、過去のDVDレンタルにとってのライバルが、SNSやネットコンテンツがライバルであると定めたときに、イノベーションが生まれたのでしょう。
そう考えると、マーケティングとイノベーションは、まさしく企業の本質的な役割なのだと改めて感じますし、昨日の記事も含めて、奇抜なアイデアよりも、基本に忠実であることの威力を感じます。HBOのユーザーむしろ増えてるのか!驚愕。
ただ今回の有難い教えは、コンテンツ産業特有の話ではなく、一般消費財マーケティングでも当たり前の話。
森岡毅さん風に言えば「サイコロの目(そのカテゴリーで、自社ブランドを使う回数)をいかに増やすか」≒ロイヤルカスタマーをいかに増やすか?の競争に終わりはない、ということ。
「売って終わり」ではなくて、常に浮気され続ける中で、愛される努力を惜しまないブランドで居続けなきゃいけないということ。