【落合陽一×宮台真司】人類をアップデートせよ

2019/2/22
2月20日のWEEKLY OCHIAIは「人類のアップデート」。社会学者の宮台真司さんをゲストにお迎えし、テクノロジーと社会学の観点から、人類について議論しました。
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クズ化するしないは摂理
「『法の奴隷』、『言葉の自動機械』になると、どんな集団も人も終わる。」(宮台)
この日のWEEKLY OCHIAIは、社会学者の宮台真司さんをゲストにお迎えし、テクノロジーによる人類の変化について議論した。
「いいねボタン現象」に消去されつつある、偶発性と未規定性に開かれた1割の人類とは──。
テクノロジーによって劣化する感覚
宮台 感覚に依存していたものを、法に依存するようになると劣化が起こる。
例えば、天気予報がある前は、天気を予想する力があった。天気予報が一般化すると、そういう能力を使わなくなります。
身体性のポテンシャリティという観点から言うと、我々を劣化させる、あるいは劣化を埋め合わせるようなテクノロジーばかりが発達してきた。
宮台真司(みやだい・しんじ)社会学者/映画批評家。1959年宮城県仙台市生まれ。東京大学大学院博士課程修了。東京大学教養学部助手、東京外語大学専任講師などを経て、首都大学東京教授。国家論、宗教論、性愛論、犯罪論、教育論、文化論などの分野で多くの著書を持ち、独自の映画評論でも注目を集める。
落合 テクノロジーで促されたシステムによって、個々は劣化するという話に近い。
例えば、昔は皆んなアクティブに本を探して、本を買って読むような気概があった。今はおそらく、システムによってリコメンドされたものの方を優先的に買っている。
それは、システムの中に取り込まれる劣化のうちの一つだと思う。
落合陽一(おちあい・よういち)。1987年東京都生まれ。筑波大学准教授・学長補佐 デジタルネイチャーグループ主宰。ピクシーダストテクノロジーズ代表取締役。
いいねボタンは人をクズにする
宮台 いいねボタンは、人をクズにする。
何故かというと、アートとエンターテイメントは違う。エンターテイメントは、楽しませて回復させる、re・creation。
アートはロマン派の定義によると、人の心に傷をつけることなんですよね。ある種の不快さに直面させて、何かを持って帰ってもらう。
だから、エンターテイメントはいいねが集まるけど、アートはいいねが集まらないのが当たり前で、それを目指すべき。
宮台 皆んながいいねボタンを押すようなアートは、はっきり言ってクズでしょう。
落合 マーケティングの結果みたいな。
宮台 そういう事です。それはAIにやらせればいい。本当に良いものは、皆んながいいねボタンを押さないという風に考えた方がいい。
意識高い系がなぜクズなのか。皆んながいいねボタンを押すものを良いものだと思ってるから。
宮台 皆んながいいねボタンを押すから、それはもうやらないっていうのがジョブズのやり方。
皆んながいいねを押さなかったものに、いいねボタンを押させるように教育していく。
落合 不合理な決定や合理的に考えれないところから出てくる、イノベーションの可能性っていうのは、すごく近い。
そういう機能は、狩猟採集のころは必要で、今は社会機能の一部として担っていることもある。日本は、その自覚が結構薄い。
iPhoneも今や風景に
宮台 システムに依存してしまい、本当に依存しきった人間だけになってしまえば、イノベーションの必要はない。
例えば、昭和の時代って、テクノロジーが輝きだったんですよ。ものが輝いていた時代。
ところが70年代80年代以降は、イノベーションがあったとしても、別にどうでもいいんですよ。それが僕たちの夢をかき立てる可能性は、ほとんどゼロになってしまった。
宮台 インターネットも、ただのインフラストラクチャー。使ってるユーザーたちは、何も考えないで、ただ適応しているだけっていう状況。
iPhoneも最初出てきた時は、凄かった。まさにThink differentですよね。
しかし、そのiPhoneも今や風景。奇跡的な発想を持った、少数の変わった人間によって創られたって事は、もう忘れられている。
日本はネガティブな先進国
宮台 日本の文化は、自分が所属している内集団でもっぱらコミュニケーションして、外集団の人たちとは関わらない。
ヨーロッパやアメリカみたいに、内集団と外集団を含めた、包括集団のプラットホームを「公」って言うんだけど、日本にはそれが全くない。
内集団じゃない人間たちを含めて、みんなどういう風に行動するんだろうと、想像する場がパブリックなんだけど、日本は想像しなかった。
宮台 今起こってることはね、テクノロジーが発達して、システムが拡張した結果、世界中が日本化してるんですよ。
見たいものだけを見て、見たくないものは見ない。付き合いたいやつだけ付き合って、そうじゃない人間を排斥する。
これは、だから悪い意味で日本化。日本はネガティブな先進国なんです 。世界の反面教師。
良き「人類」になるために
宮台 人間的なものを保つことが大事。
なので、人類をアップデートするという発想にも、問題があるかなという気もする。
人間的なるものを支える、プラットフォームをアップデートするということなんじゃないか。
落合 カギカッコつきの「人類」は、きっとプラットフォームを含むところですね。
さっき言ってた、クズって言葉に代表的なんですけど、言葉の自動機械と法の奴隷という状態の人間っていうものを定義する。
その上で、自由かつ責任のある人間みたいなものを規定しようとする営みを繰り返し続けているから、社会システムは硬直化しなかった。
その二項対立、敵対的関係みたいなものをやり続けない限りは、面白いものは出てこない。
合理性で排除された、カオスの価値
宮台 法外のシンクロとか法外の享楽を知っている人間って、必ず嫉妬される。
今これを見てる人たちの中にもね、法外の享楽とか意味わかんねーよとか言ってる奴は必ずいる。あなたのことね。
そういう人たちの一部が、単に嫉妬するだけでなく、俺もそっちに乗り出すぞと1割が思ってくれれば、僕としては挑発が成功している。
宮台 アートもまたそういうもので、万人を啓蒙する政治宣伝じゃない。
良きものを持っているけれど、クズに適応をして、曇りガラスのように曇りがどんどん激しくなっていってっている人たちの、曇りを晴らす。
それは、やっぱり嫉妬っていうね、何らかのconflictがきっかけになると思います。嫉妬させようと思って、喋ってるんですよ。だから、知らねーよとか怒ってるやつ、それが目的だから。
The Catcher in WEEKLY OCHIAI
番組冒頭から、圧倒的な情報量とスピードで議論は進んでいく。
記事でご紹介したのは、議論のほんの一部分。
今の時代を生きるヒントが散りばめられた議論は、ぜひ本編でお楽しみ下さい。
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次回は「資本主義をアップデートせよ」
2月27日は、「資本主義をアップデートせよ」より二度目の登場、大阪大学准教授の安田洋祐さんをゲストにお迎えします。
テーマは再び「資本主義」。
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<執筆:潘嘉敏、デザイン:片山亜弥、潘嘉敏>