【The UPDATE】キャッシュレス戦争を生き抜くのは?

2019/2/23
毎週火曜夜9時からTwitterで配信中の“経済プロレス”『The UPDATE』。今回のテーマは「キャッシュレス戦争」。キャッシュレスサービスの専門家やYahoo!決済を立ち上げた技術者など、多彩なゲストを招いて議論しました。

番組を視聴するには、番組公式Twitterアカウント(@TheUPDATE_NP)をフォローしてください。火曜夜9時のライブ配信の開始をTwitterでお知らせします。
画像タップで番組本編が視聴できます(Twitterに遷移します)

知の格闘技の「地上戦」

「来年には30種類ものサービスが出ると言われている。」
PayPay、LINE Pay、メルペイ、、amazon pay、楽天Pay…
次々とモバイル決済がローンチし、市場は“キャッシュレス戦争”の様相を呈しています。
そこで、今回の『The UPDATE』は「キャッシュレス戦争、生き抜くのは?」をテーマに多面的な議論を繰り広げました。
『WEEKLY OCHIAI』が知の格闘技の空中戦ならば、『The UPDATE』は地上戦
様々な角度から繰り広げられた議論の中から、その一部をお届けします。

現金はなくなる?なくならない?

泉田 現金はなくならない。
キャッシュレスサービスの利便性の裏にあるのがセキュリティへの意識。自分でどうしても秘密で買い物した時に(購入記録の残る)カードや決済サービスを使いますか?
古坂 結婚してたら、明細は奥さんに届いて秘密の買い物がバレちゃいますもんね。
泉田 でしょ?真面目に考えても、これだけスマホやPCなどデジタルでインプットする方法が普及しているのに、ペンや万年筆は残っている。
現金とモバイル決済も同じで、どちらかが全くなくなりはしない。
テクノロジーによって享受できる利便性とセキュリティへの不安のバランスをとる形で、キャッシュレス化は進み、現金への依存も残っていくだろう。
白石 40年後とか、そのくらい先を見据えると現金はなくなると思う。問題は次のイノベーションがいつやってくるか。
誰もがスマホを持ち始めた今だからこそ、モバイル決済サービスが注目されている。
しかし、次のイノベーションによって、例えば体に埋め込んだチップで決済する時代になったとして、そんな時代に硬貨や紙幣を持つ人はいなくなるだろう。

「決済大国」中国の普及スピード

佐々木 その変化のスピードがどの程度なのかを知りたい。
佐藤 去年、モバイルQR決済の元祖である中国に行ってきた。
中国はこの5年間でキャッシュレス化が一気に進み、普及率は2015年の時点で約7割。2019年の現在はもっと普及している。
中国のキャッシュレス決済比率は、韓国に次いで2位。
石山 去年、北京に行ったのですが、同年代の女性が「もう3年くらい現金は一切使っていない」と言っていた。
佐藤 今、中国国内でブランドの売り上げが落ちているが、中でも最も販売が低調なのが財布。
中国から外国人が日本にやってくる時には、パスポートと財布をわざわざ持ってこなきゃいけない。それくらい日本は不便な国になってしまっている。

世界で勝つ2種類の決済サービス

佐々木 では、キャッシュレス戦争でどこが勝者となるのか。そこをぜひ議論しましょう。
石山 個人間で送金ができる「LINE Pay」は、お金と一緒にメッセージやスタンプも合わせて送ることができる。
お金に対して冷たい印象があったり、現金のやりとりに生々しさを感じる若い世代にとっては、お金と一緒にメッセージや温かさを送れるところに期待したい。
白石 アンジュさんの指摘は興味深い。グローバルでユーザーに選ばれているペイメントサービスには2通りしかない。
1つはコマースをベースとしたペイメントサービス。「amazon pay」や「アリペイ」などがこれで、私が在籍していたYahoo!の決済サービスもこのタイプ。
もう1つがメッセージング
WeChatの「WeChat Pay」や、PayPalが買収したアメリカの「Venmo」。完全にお金とメッセージのやりとりをセットにしたサービスで、「LINE Pay」はこのタイプにあたる。
そんな中で登場した「メルペイ」は、2つのタイプの特徴を備えているので、キャッシュレスの新しい形を作ることができるかもしれない。
古坂 「LINE Pay」や「メルペイ」のようなメッセージング機能を他のサービスも導入すればいいだけでは?
白石 LINEやメルカリは、決済サービスに乗り出す前に、膨大なユーザーを抱えた。だからこそ、決済サービスにメッセージング機能をつけることができた。
泉田 結局は使いやすさだろう。アマゾンで買い物している人は「amazon pay」にチャージして、2.5パーセントの割引を得ることが魅力だろうし、毎日電車に乗るから決済も「Suica」が便利だと思う人もいる。
QRコードかNFC非接触かではなく、ユーザーの生活動線に決済がどう絡んでいるかが重要。
キャッシュレス戦争の勝者を考えるなら、Payの方法を語るよりも、サービスや対象ユーザーについて語るべき。

古坂大魔王が選んだ今週の金言

およそ1時間の議論の最後は、番組MCの古坂大魔王が選ぶ「King of Comment」
古坂大魔王が選んだのは、白石陽介さんの発言でした。
白石さんのこの発言は、どんな文脈で飛び出したのか、ぜひ本編をご覧ください。

次回は「音楽は稼げるのか」

アーティストとユーザーに選ばれるストリーミング配信サービスは何なのか?
CDが売れなくなったレーベルはどんな戦略で戦うのか?
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<執筆:安岡大輔、デザイン:斎藤我空>