【波頭亮】合理性で差がつかない世界。我々はどう戦うべきか

2019/1/13
日本のコンサルティング業界を黎明期から牽引してきた、XEED代表の波頭亮氏。国家のビジョンに対しても積極的に提言する、切れ味鋭い論客としても知られている。
今回、波頭氏にこれまでの「経営論」の流れを概観してもらいながら、これからの経営人材にとって不可欠な資質について聞いた。
波頭亮(はとう・りょう)/XEED代表
東京大学経済学部(マクロ経済理論及び経営戦略論専攻)を卒業後、マッキンゼー&カンパニー入社。1988年独立、経営コンサルティング会社XEEDを設立。幅広い分野における戦略系コンサルティングの第一人者として活躍を続ける一方、明快で斬新なビジョンを提起するソシオエコノミストとしても注目されている。また執筆してきた著作は経営コンサルタント必読のテキストとして評価が高い。

経営戦略論の歴史

──波頭さんはこれまで、経営戦略に関する数多くの著書を執筆されてきました。しかし近年では、経営戦略の重要性が低下すると述べています。その真意をお聞かせください。
波頭 経営戦略論が登場したのは1960年代ですが、当時は企業活動にとって「合理的に正しいこと」がなかなか分かりませんでした。データも簡単には取れないし、それを分析するための方程式も導き出されていませんでした。