天才ピーター・ティール「驚異の成長法則」

2019/2/23
LinkedIn共同創業者で、シリコンバレー屈指のベンチャー・キャピタル、グレイロック・パートナーズの投資家であるリード・ホフマン氏が、著名な起業家にインタビューするポッドキャスト「Masters of Scale(マスターズ・オブ・スケール)」

企業はどのようにしてゼロから一気に成長するのか。伝説のリーダーたちへのインタビューから明らかにしていく模様を「イノベーターズ・ライフ」で公開する。

初回のゲストは、PayPal共同創業者のピーター・ティール氏。PayPal創業時から取締役に名を連ね、副社長も務めたPayPalマフィアの一人であるホフマン氏が、ティール氏の思考に迫る。
Listen to Masters of Scale at applepodcasts.com/mastersofscale and follow us Twitter.com/mastersofscale.
【ピーター・ティール】競争できないと思わせる速度で成長せよ
あまりに多くの人々が習慣のように競争をしているが、結果は競争そのものが激化するだけで、競争に勝ったとしても、労力に見合った対価が得られるとは限らない。
他の仕事よりほんの少し実入りのいい仕事にありつけたからといって、代わりに自分の魂を売り渡さなければならないようなことになれば、経済的にもモラル的にもあまり良いトレードオフとは言えないだろう。
慣習的な競争では、こういうことがよく起こる。
【ピーター・ティール】どうすれば口コミでユーザーを増やせるか?
僕らは、できるだけスピーディにサービスの規模を拡大しようとした。
どうすればスケールできるか、口コミでユーザーを増やすにはどうすればいいか……リード、きみとは何度も夜遅くまで話をしたね。
バイラリティや、指数関数的にマーケットを拡大していく方策について。ペイパルのホワイトボードに、僕らはこんな数式を書いていた。
【ピーター・ティール】ユーザーに心から支持されるビジネスをしろ
振り返ってすごいと思うのは、ペイパルがいかに耐久性のある会社だったかということだ。あえてアドバイスをするなら、こんな感じだろう。
「ユーザーの心をつかむユースケースがある分野で、ユーザーに心から支持されるビジネスをやりなさい」とね。そのことが、ある程度は会社を守ってくれる。
【ピーター・ティール】最後に動いた者が勝つ 
これは僕が「ラストムーバー・アドバンテージ」と呼んでいるものだ。
チェスで言えば、エンドゲームから始めるようなもので、最後に動いた者が勝つというわけだ。
【ピーター・ティール】経験よりIQの高さを重視する
ホフマン:ここで、ふたつほどきみに思い出してもらいたいことがあるんだ。
まず、僕らは経験豊富な人材よりも、高いIQの持ち主を雇おうとしていた。経歴を軽視していたわけじゃないが、僕らにとってIQの高さは経歴よりもずっと重要なことだった。
なぜなら、僕らはまったく新しい領域に踏み込もうとしていたからだ。これがひとつ。
【ピーター・ティール】どんな未来を作りたいか、決めるのは自分だ
結局のところ、望んでいない未来は訪れようがない。どのような未来を作っていきたいのか、決めるのは自分たちなのだからね。
ある企業が将来どのような形になるのかを知りたければ、そこの社員に聞けばいい。全部、彼らが教えてくれるよ。
【ピーター・ティール】フェイスブックは最高の投資先だった
ホフマン:きみと僕はフェイスブックに共同出資した。少なくとも初期のフェイスブックでは、規制の問題はペイパルよりずっと少なかった。
とはいえ、「ものすごい勢いで成長する企業で、走りつづけながらビジネスモデルを考え、社会経験のまったくない若者たちと仕事をする」という難しさでは共通していたと思う。
ザッカーバーグとパーカーに最初に会ったとき、そのことについてどう考えていた? 
ティール:もちろん、ネガティブには考えていなかった。他の投資家はネガティブにとらえたかもしれないけれど。
【最終話・ピーター・ティール】ジョブズとイーロン・マスクの偉業
ジョブズがアップルで成し遂げた真の偉業は、この手の複雑な判断だったと僕は思う。
これは、テスラとスペースXでのイーロン(マスク)についても言えることだ──。
連載「イノベーターズ・ライフ」、本日、第1話を公開します。
(予告編構成:上田真緒、本編翻訳:藤田美菜子、バナー写真:ANDREW WHITE/The New York Times、デザイン:今村 徹)