【直撃】なぜエネルギー業界は、AIに向いているのか

2018/11/16
エネチェンジ。
引っ越しなどで、電気の購入先を変えようとしたことがある人なら、一度は聴いたことがある名前ではないだろうか。事実、エネチェンジの「電力比較サイト」でのシェアはダントツで、企業としても2016年の自由化以来、飛躍的な成長を遂げている。
そのエネチェンジが10月、11月と、荒業とも言える次の戦略に出た。
これまでVC(ベンチャーキャピタル)が持っていた株の出資比率を抜本的に引き下げる一方で、一気に日本や世界の大手エネルギー企業や、金融機関からの出資を受け入れる形での資本業務提携を発表したのだ。
その背景には、「比較サイト」だけを見ていては分からない、世界レベルでエネルギー変革を見据えるこの会社の野望があった。NewsPicks編集部は、その狙いについて、この企業の本当の姿について、エネチェンジの城口洋平会長に直撃した。

「一本足打法」からの脱却

──10月、11月と大きな資本政策を発表しましたが、その背景は何なのでしょうか。
エネチェンジは2015年の創業なのですが、これまで業績はかなり好調で倍々以上のペースで成長しています。特に2015〜2017年での売上高成長率は11000%で、デロイトの「Fast50」の対象に入っていれば、日本でトップの成長率になっていたレベルです。
2018年度も引き続き、高いレベルでの成長が続いていて、利益面も、今期で黒字転換して7000万円ほどの利益を見込んでいます。
そんな中で、今年は大きな方針転換を図っています。
これまでは2016年の電力自由化もあって、購入先の電力会社を切り替える「比較サイト」が収益の柱だったのですが、去年から、スマートメーターのデータをAI解析する「エネルギーテック事業」が一気に伸び始めました。今や比率的には半々ぐらいで、比較サイトの「一本足打法」からは脱却できています。
なので、今年、会社をもう一つ次のステップに大きく成長させていくために、二つの方針を打ち出したんです。
一つは、資本提携の戦略の転換です。
これまでは比較サイトがメインだったので、公平中立性を損なわないために、エネルギー企業からの出資はお断りし、主にVC(ベンチャーキャピタル)中心のニュートラルな投資家にだけ資金を入れてもらっていました。
ですが、今や蓄電池やVtoG(電気自動車と送配電の接続)なども新たな事業を打ち出していく中で、やはり顧客ベースを持つ企業の方が、新たなフィールドを提供してもらえるということで、国内外のエネルギー企業と資本提携させてもらったんです。