[8日 ロイター] - 米電気自動車(EV)メーカー大手テスラは8日、取締役会がイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の株式非公開化構想を精査していると明らかにした。

マスクCEOは前日、ツイッターへの投稿で「1株当たり420ドルでテスラの株式を非公開化することを検討中だ。資金は確保した」と述べ、株主や市場は不意打ちを食らった。

この価格に基づくテスラの価値は700億ドルを超え、実現すれば株式非公開化としては過去最大規模となる。

テスラのウェブサイトに掲載された取締役6人の声明によると、取締役らは前週数回にわたりマスクCEOと会合。株式非公開化がテスラの長期的な利益にどのように貢献するか、さらに「同構想の精査に向けた次の適切なステップ」を巡り討議したという。

資金調達についても協議が行われたことを明らかにしたが、詳細には言及していない。

これら取締役6人には21世紀フォックスのジェームズ・マードックCEOが含まれる。テスラ取締役会は株式の約20%を保有するマスクCEOを含め計9人で構成されている。

マスクCEOは前日、ツイッターへの投稿後に株主に書簡を送り、非公開化構想の詳細を説明。それによると、株主にはテスラ株を1株当たり420ドルで売却するオプション、もしくは非公開企業としてのテスラの株主にとどまる選択肢が与えられる見通し。

マスク氏は「極力、雑念や短期的な思考から開放され、ベストな状況での運営が可能となる」と述べた。

一部アナリストの間からは、マスクCEOが非公開化に向けて十分な資金を確保できるかを巡り懐疑的な声が上がっている。

ノルドLBのアナリスト、フランク・シュウォープ氏は「誰が自社株買いに300億─500億ドルを出すのか」と疑問を呈し、「仮にテスラの株主にとどまれば、これまで以上に入手できる情報は減り、さらにマスク氏に依存せざるを得なくなる」と述べた。

JPモルガンのアナリスト、ライアン・ブリンクマン氏は、テスラ株式非公開化実現の確率は「50%」とした。

テスラの株価は序盤の取引で1%弱安で推移。前日は11%高で取引を終えた。

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