【5分で名著】『資本の世界史』を読んで見えた、日本経済の復活

2018/5/31
気鋭の経済学者、安田洋祐・大阪大学大学院准教授が、世界経済の今を読む解くための必読書を紹介する短期連載「資本主義・マネー・世界経済がわかる3冊」。
第1回目の『サピエンス全史』第2回目の『21世紀の貨幣論』に続いて、最終回の今回は、ドイツの経済ジャーナリスト、ウルリケ・ヘルマン氏(1964年生まれ)による『資本の世界史』を紹介する。
この本の副題は「資本主義はなぜ危機に陥ってばかりいるのか」で、「資本主義を考えるための必読書」という触れ込みだ。

主流派が考えない「貯蓄の逆説」

『資本の世界史』を選んだのは、この本が「資本主義は歴史上の現象である」という前提で、「歴史的な視点から資本主義を問い直そう」としているからです。
現在の経済理論では、歴史性を無視して、もしくは歴史を脇において、理論分析をしてしまう傾向があります。
しかし、この連載の第1回目で紹介した『サピエンス全史』からも読み解けるように、資本主義は極めて歴史性のある現象です。歴史的な視点は、僕自身にも足りないと日頃感じていました。