途上国社会で憎悪と暴力をあおる、フェイスブックの暗黒面

2018/5/16

ヘイトスピーチがたちまち拡散

青々とした木が生い茂る山の中。舗装路もなくなり、トラックのわだちだけの道の終わりに、コンクリートの家がぽつんと立っていた。水道も通っていない家だが、中では13人の大家族がスマートフォンを凝視していた。
彼らが怒りに震えながら見入っていたのは、フェイスブックのあるページだった。その1カ月前、家族の1人でトラックの運転手だった男が、暴行を受けて死んだ。運転をめぐる口論が暴力にエスカレートしたのだと、捜査当局は説明していた。
だが、フェイスブックには、「イスラム教徒(ムスリム)の陰謀だ」というメッセージがあふれていた。
ここスリランカでは、仏教徒のシンハラ人が人口の大多数を占める。それに対して、少数派であるムスリムが、仏教徒を駆逐しようとしている、というのだ。