[25日 ロイター] - 米フェイスブック<FB.O>の第1・四半期決算は、予想を上回る63%の増益となり、ユーザー数も増えるなど、利用者情報流出問題の影響は見られなかった。動画コンテンツ拡充に向けた取り組みが奏功し、モバイル向け広告収入が増加した。

3月半ばには、2016年米大統領選でトランプ陣営が契約していた政治コンサルティング会社ケンブリッジ・アナリティカ(CA)にフェイスブックのユーザーの個人情報が大量に流出していた問題が報じられたが、フェイスブックの広告需要が落ち込むことはなかった。

決算を受け、フェイスブックの株価は引け後の時間外取引で7.1%上昇し、170.95ドル。情報流出が報じられた3月半ば以降の下げ幅を縮小した。

月間アクティブユーザー数は前年同期比13%増の22億人。トムソン・ロイター・エスティメーツのまとめたアナリスト予想と一致した。

米国とカナダで1日のアクティブユーザー数が増加に転じ、1億8500万人となった。前四半期は1億8400万人だった。

株主帰属の純利益は49億9000万ドル(1株当たり1.69ドル)で、前年同期の30億6000万ドル(同1.04ドル)から増加した。1株利益のアナリスト予想は1.35ドルだった。

総売上高は49%急増し、119億7000万ドル。市場予想の114億1000万ドルを上回った。

費用は39%増加した。

フェイスブック株を保有するシノバス・トラスト・カンパニーのシニア・ポートフォリオマネジャー、ダニエル・モーガン氏は「フェイスブックの逆境ばかりが注目されているが、今回の決算は非常に前向きで、同社が困難を乗り切る見通しであることが再び示された」と分析した。

フェイスブックのデビッド・ウェーナー最高財務責任者(CFO)はアナリストとの電話会見で、今年は費用の伸びが50─60%になる見通しだと述べ、従来の45─60%から上方修正した。偽アカウント一掃、ヘイトスピーチや暴力的動画の削除といった利用者の安全やセキュリティー強化に向けた取り組みが増加分のほとんどを占めると説明した。

ウェドブッシュのアナリスト、マイケル・パクター氏は、「投資家は利益が速いペースで伸び続ける限り、プライバシー対策費の積み増しは当然と受け止めるだろう」と指摘した。

フェイスブックの第1・四半期末時点の従業員数は前年同期比48%増の2万7742人。

同社はまた、自社株買いの資金として新たに90億ドルが承認されたと発表。当初は最大60億ドルが認められていた。

マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は発表文書で、フェイスブックは「良いことのために自社のサービスが使われるように投資している」と表明した。

情報流出を受けたプライバシー対策で規制が強まり、ユーザーに特化したターゲティング広告の作成などに使える情報が制限されれば、フェイスブックが扱う広告への需要は落ち込む可能性がある。ただ、事業規模の大きさから、同社は規制にうまく対応できるとの見方もできる。

フェイスブックは主力サービスの「フェイスブック」のほかにも、世界的に人気の3つのスマートフォンアプリ、「インスタグラム」、「メッセンジャー」、「ワッツアップ」を傘下に持つ。

*内容を追加しました。