【石川善樹×矢野和男】すぐ「世界一」になる方法は?

2018/5/8

「矢野という男」

石川 まずは僕が「矢野という男」を知った経緯からお話しする必要があると思うんですけど、僕は昔、アメリカのケンブリッジにあるセントラルという所に住んでいて。そのすぐ近くに、MITのメディアラボがあったんですね。
僕はその中のペントランドラボ(情報工学者のアレックス・ペントランド氏)という所によく遊びに行っていたんですが、そこに日立の方もいらっしゃっていて。首からかけた社員証みたいなデバイスで、誰と誰が話しているのかが分かる、というようなことをやっている。
すごく面白い研究をしているなと思って、それでその人と一緒に何かできないかみたいな話をよくしていたんです。
矢野 それは、何年ぐらいのことですか?
石川 2007年のことです。で、その彼に「いや、うちには矢野さんっていうすごい人がいてね」っていう話を聞いていて。矢野さんが左手首にウェアラブルデバイスを装着している写真を見せてもらったり。今でもつけてらっしゃいますよね?
矢野 あります。
矢野和男(やの・かずお)/日立製作所 フェロー
1984年早稲田大学物理修士卒。日立製作所入社。1993年単一電子メモリの室温動作に世界で初めて成功。2004年から先行してウエアラブル技術とビッグデータ収集・活用で世界を牽引。論文被引用件数は2500件。特許出願350件。「ハーバードビジネスレビュー」誌に、「Business Microscope(ビジネス顕微鏡)」が「歴史に残るウエアラブルデバイス」として紹介されるなど、世界的注目を集める。延べ100万日を超えるデータを使った企業業績向上の研究と心理学や人工知能からナノテクまでの専門性の広さと深さで知られる。著書『データの見えざる手:ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会』が、BookVinegar社の2014年ビジネス書ベスト10に選ばれる。
石川 いろんな記事を見せてもらって、「うちのカリスマなんだよ」っていう話を聞かされて。それからずっとお会いしたいと思っていたんですよ。