【佐藤航陽】価値主義の時代に、価値ある人間の条件

2018/1/10
【佐藤航陽】経済システムが発展する「5つの条件」
本対談はNewsPicksアカデミア講義「佐藤航陽・個人は経済の主役となれるのか」の内容を再編集したものです。アカデミア会員の方は、こちらから動画を視聴できます。
価値主義という考え方
箕輪 佐藤さんは資本主義の次は、価値主義という考え方が来るということを言っていますが、具体的にはどんな変化ですか?
佐藤 資本主義の弱点というのはお金に換算できないものは、ないものとして判断するところ。会社でいうと、社員の満足度とか、存在しないものとして扱われますよね。試算表には表せないので。
箕輪 確かにそうですね。
佐藤 しかし、世の中には、多くの人が価値があると感じているんだけど、儲からないことって結構あるじゃないですか。
箕輪 大学の研究とか社会活動とか。
佐藤 そうです。お金になることと、世の中で価値のあるものっていうのが、分離してしまっているっていう問題があった。それがようやくネットが普及して、人々が必要だと思っている価値そのものが可視化できるようになってきた。
ある意味、資本主義の弱点を補いつつあるんじゃないかと思いました。それは期待値だったり、興奮だったり、もしくは、好きだっていう感情だったり、感謝だったり。これらは本来、見えなかったものじゃないですか。
箕輪 はい、資本主義的な物差しでは測りようがないですよね。
佐藤 そうです。本来、お金というものは価値を具現化する一つの手段だったのに、資本主義においてお金そのものが力を持ちすぎていた。
価値主義というのは、お金は単なる「ツール」として、価値はあるけどお金にならなかったものを見直す考え方ですね。
箕輪 価値主義が出てきたとき、資本主義的な世界を捨てて価値主義で生きる人も出てくるんでしょうか?
佐藤 いや、私はすでに世代や職業によってそうなっているんじゃないかと思います。たとえばユーチューバーにとってはお金よりも、ファンというか、影響力のほうがプライオリティが高い。
ユーチューバーにとってはフォロワーの熱量がお金を生み出しているわけだから、どちらに価値があるのかって言ったら、当然、フォロワーとか、影響力のほうですよね。
彼らはすでに、お金をツールとして考えていて、資本主義ではなく価値主義的な発想で生きてますね。
箕輪 では、いずれ資本主義は価値主義に置き換わっていくのでしょうか?
佐藤 いや、資本主義もなくならないと思いますね。いいと思う人がいる限り、なくならない。それは、掃除機が発明されても、ほうきがなくならないのと一緒かな。使い勝手が違う。用途が違いますね。
箕輪 では、全体的に小さくなるけど、完全にはなくならないっていうことですね。
佐藤 今の10代が大人になる頃には、価値主義がメインに切り替わると思いますが、昔のものが完全になくなるわけではないですね。
儲けるより、価値を高めるために働く
箕輪 評価経済や価値主義というと、「どんな個人でも輝ける」みたいな文脈で語られることが多いですが、実際は資本主義社会より個人の競争が激しくなりませんか?
佐藤 おっしゃるとおりですね。
逆に、会社というのは、ある程度、全員を横並びにするような仕組みだったじゃないですか。どれほど結果を出しても年収数千万で止まる。その代わり下も一定で止まる。ある程度の範囲を会社が決めてくれていましたけど、価値主義はそうではないので。
箕輪 上も下も際限がない。
佐藤 ある意味、厳しい社会ですね。
でも、既存経済が下は保障してくれるので、既存経済を稼ぎながら、一部の個人の才能がさらに活躍できるようになるっていうイメージですかね。
既存経済で、実績を出した人が、新しい経済でも価値が付く。そういう意味では自分の価値を高めるために会社に行くようになるでしょうね。
箕輪 僕自身、それは実感しています。会社の時給と、タイムバンクを始めとした個人に付く値段を比べると、会社のほうが当然低い。
では、会社を辞めるかというと、むしろ給料0でも幻冬舎はやめないなと思っていて。
それは、会社で話題の本を出し続けることが僕の価値や人脈に繋がっていて、ここで価値を貯めて、外で回収しているようなイメージがあるんですよね。
佐藤 おっしゃるとおりで、今後は、自分の価値をどうやって高めるかっていうのを考えながら、働いていくのが一番じゃないかなと思っています。
今まではお金を稼ぐのが全てだったじゃないですか。どっちに転職したらいいのかっていうのも基本は給料優先で。
しかし、今後は自分の価値を上げられるかが優先されると思います。
箕輪 就職ランキングも、個人の価値が上がるような会社が今後伸びる。
佐藤 そうですね。大企業で調整役のような仕事をしていても個人としての価値は高くないじゃないですか。
箕輪 何とか商事の課長がタイムバンクやっても。
佐藤 新しい経済の軸では、ほぼ0円ですから。むしろ、破産などの大失敗だったとしても個人的に稀有な経験をしている人間のほうに価値が付いてくるので。今までの価値観を忘れなきゃいけないんで、難しいですよね。
熱狂できることを見つけられるか
佐藤 今までって稼ぐのがうまい人が、価値があったと思うんですが、今後は情熱的とか、個性的である人ですよね。最終的には人間の価値っていうのは個性、オリジナリティ、それしか残らないんじゃないかな。
「あなただからこそ仕事を頼みたい」と思われるかどうか。
箕輪 1億総キャラクター社会が来るのかな。ある意味それは、かなりつらいですね。
佐藤 どうなんでしょうね。むしろ、個性を突き詰めていくっていう教育が、スタンダードになると思います。
箕輪 なるほど、今の画一的な人間を作る教育がベースで考えると辛いけど、今後は育て方から変わっていくと。
佐藤 そうですね。ちょっと言い方悪いですけど、そもそも昔は兵隊を作るのが学校の役割だったので。
これからは「俺、何が好きなんだっけ」と。それを突き詰めていく。そこが重要じゃないかな。
箕輪 堀江貴文さんや落合陽一さんがVALUやタイムバンクでとんでもない価値が付くのは、彼らが、唯一無二の存在で、見たことない未来を見せてくれそうだというワクワク感があるからですね。
佐藤 予測不可能というか。何が飛び出すか分からないので、見ていたいっていう。