【松岡正剛】日本は、もう一度「ハイブリッド」を考えよう

2018/1/2
江戸ガラパゴスのヒント
──江戸時代には、鎖国だからこそ生まれたダイナミズムが、あったわけですね。
今から見ると、それは、ただの鎖国が作ったガラパゴス、日本的な趣味でしょ、と思われるかもしれない。
けれども、僕が見るに、縄文以来の古代国家におけるデュアリティ、第2の武家、公家、神仏習合を起こしたと言われるデュアル、第3の鎖国が起こした多様なデュアルなものを見ていけば、21世紀の何かしらの役に立つかもしれないものも潜んでいると思っているわけです。
ちなみに、これより後の時代は、黒船開国、明治維新、満州帝国なので、あんまりうまくいかなかったんですね。
──明治以降は、日本のデュアリティがなかなか発揮できない状態になった。
ここを失敗したのが「国体」という考え方です。
まだ鎖国時代に黒船が来たとときに、天皇を頂点に一時的に全体を捉え直せば、このまま多様性を保てるというふうに思って、デュアルで多様なものを消して、天皇を万世一系に置いて、「国体」というものを打ち出してしまった。
この「国体」がいつのまにか目的化して、天皇さえいれば国体は保てる、国体さえ守ればいい、という国家身体的なものになっていくわけですね。
つまり、ありもしないものがあると言ってしまってからが、完全にミスってしまったんです。天皇制は、今もデュアルにしておけば構わないけど、デュアルにしない天皇制はダメですね。つまり絶対化はダメです。
松蔭はアサンジみたいな男
そういう国体の考えが、なぜ水戸イデオロギーから生まれたのか。