(Bloomberg) -- 東芝の半導体子会社「東芝メモリ」の売却をめぐって法廷闘争に発展していた東芝と米ウエスタンデジタル(WD)が、和解する見通しとなった。WDが国際仲裁裁判所や米カリフォルニア州の裁判所で起こしていた訴訟を取り下げる。事情に詳しい複数の関係者が明かした。

東芝とWD傘下のサンディスクは1999年から提携しており、新たな生産設備を投資する際には共同で投資してきた。だが、四日市工場(三重県四日市市)第6製造棟の第1期分の投資については双方が折り合わず、東芝が単独投資を決めていた。

東芝は第2期分の共同投資について、WDの全ての訴訟取り下げを条件としていた。WDは第2期分も単独投資となった場合、同棟で生産する最先端のメモリーを入手する道を絶たれることになり、半導体業界の熾烈(しれつ)なシェア争いに取り残される懸念があった。

関係者によると、両社間の協議は現在も続いており詰めるべき事項が複数あることから、和解に至らない可能性もあるという。

東芝は11月、6000億円の増資を決め、2018年3月末までに東芝メモリの売却が完了しなかったとしても上場廃止とならないよう対策を打った。上場廃止回避に加え、WDとの係争問題も解決する見通しとなったことで、今後の課題は中国や米国など関係国当局による独占禁止法の審査を残すのみとなった。

一方、WDは足元の1カ月で株価が12%下落。モルガン・スタンレーはNAND型フラッシュメモリーの価格下落と東芝メモリを取り巻く不透明感を理由に、WDの目標株価を117ドルから90ドルに引き下げていた。

マッコーリー証券のアナリスト、ダミアン・トン氏は「和解することは東芝とWDの双方にとって極めて重要だ」と述べた上で、WDとしては合弁での自社の利益が維持されることを確実にする必要があると指摘した。

東芝広報担当の平木香織氏は電子メールで、和解に向けた協議は進めているものの、現時点で具体的に決定した事実はないとコメントした。WD広報担当はコメントを控えた。

東芝の株価は1日、前日比マイナス圏で取引されていたものの報道を受けて反発。一時前日比2.9%高の284円まで上昇した。

(7段落目にアナリストコメントを追加しました.)

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