坊主禁止&ストップウォッチ。激減する中学軟式野球部の復活策

2017/11/8
宮城県松島町立松島中学は、1998年、2016年と2度の全国中学校軟式野球大会に出場した実績がある。
現在の部員数は、2年生が9人、1年生が2人。英語教師の猿橋善宏監督が赴任した約20年前は近隣に9つの少年野球チームがあったものの、統廃合して現在は1チームになった。その影響が町で唯一の公立中学に出ている。
今年秋に埼玉県大会でベスト4に入った所沢市立安松中学の場合、2年生は16人で、1年生はゼロ。同校の学区には2つの少年野球チームがある中、1つは小学6年生が1人もおらず、もう1つは5人のうち4人が私立中学に進んだ。残りの1人が安松中の野球部に入部したものの、半年も経たずにバスケットボール部に転部している。
「その子が(硬式の)ボーイズやシニアに行っているなら、まだ心にスッと来るものがあるんですけどね」
体育教師の郡司匡宏監督は、素直な心情を吐露した。
安松中野球部が地域に向けるメッセージ

“上を目指す”なら硬式

今、部員不足で悩む中学野球部が全国で続出している。
2007年と2016年の野球人口を比べると、さまざまな事情が透けて見える。
2007年から2016年にかけての減少幅は小学生が19%に対し、中学生は32.7%。2007年は小学生より中学生の野球人口が多く、中学になってから野球を始める人数がそれなりにいたと推測される。
しかし2016年になると、小学生から中学生で野球人口が約2万人減少。その要因は、硬式と軟式の人数変遷に隠されている。10年間で硬式は微増の一方、軟式は約12万人減っているのだ。
2010年と2016年の部員数変遷を他競技と比較すると、軟式野球部の苦戦は際立つ。