少年野球の“構造的欠陥”。タイムリミットはあと3年

2017/11/7
「ここ10年くらいで変わりましたね。放課後、たまたまこの小学校を通っても、野球をしている子どもを見受けられなくなりました。別に、サッカーが増えたわけではないんですよ」
埼玉県所沢市の少年野球チーム、若狭ブルースカイで低学年の指導をする粕谷修監督はそうこぼした。子どもの送迎やお茶当番などの負担を嫌い、野球をやらせたくない親が増えているという。
2007年から2016年にかけて、全日本軟式野球連盟(全軟連)に登録する小学生チームは2822減少。
この間、専業主婦世帯が851万から664万に減ったのに対し、共働き世帯は1013万から1129万に拡大した。
たとえ子どもが野球をやりたいと望んでも、せっかくの休みはゆっくりすごしたい、あるいは家族で出かけたいなどと考える傾向が増し、親にも負担のかかる野球をやらせたくないという話はよく聞こえてくる。
社会の変化に対応できず、野球は敬遠されるばかりだ。とりわけ少年野球界は構造的欠陥にメスを入れられない必然として、競技人口を減らし続けている。

指導者ライセンス導入へ

全軟連は3年ほど前に聞き取り調査を行い、野球離れの原因は大きく3つあると分析した。最大の原因は「長時間練習」で、2つ目はユニフォームや道具など「金銭面の負担」、3つ目が冒頭で指摘したような「親の負担」だ。
こうした問題を解決するため、全軟連の宗像豊巳専務理事は指導者ライセンスの導入を断言した。
「3年以内にやらないと、軟式野球が衰退してしまう。そうすると、日本の野球文化がおかしくなる。その原点の小学生が野球を長く、楽しく継続できるように育成するには、指導者への指導をちゃんとしないとダメ。それを今までやってこなかったので軌道修正し、指導者育成が必要とたどり着いた」