[東京 23日 ロイター] - トヨタ自動車<7203.T>は23日、新型のタクシー専用車「ジャパンタクシー」を発売した。従来車から22年ぶりとなる新型車で、これまでのセダン型からワゴン型に変更。

床を低くし、大きな開口部を持つ電動スライドドアにするなど、高齢者や車いすの使用者、大柄な外国人など誰もが快適に乗降できるようにした。

車体の色は3色あるが、海外からは「ジャパンブルー」と呼ばれ、古くから日本を象徴する色とされる深い藍色をメインカラーとし、街を走るタクシーの色の統一を目指す。日本のタクシー車両はトヨタがシェア約8割を占めており、各事業者は走行距離や年数により順次、車両を入れ替える見込み。

豊田章男社長は同日の出発式で、新型タクシーは「安心で安全、清潔だ」と説明。小学生の頃の夢がタクシードライバーだったことにも触れ、「トヨタという会社にとっても個人にとってもタクシーは非常に大きな存在」と語り、「このタクシーで東京の街から日本の風景を変えたい」と述べた。

全国ハイヤー・タクシー連合会の川鍋一朗会長(日本交通会長)も、2020年の東京五輪・パラリンピック開催時には「東京を走るタクシーの3台に1台をジャパンタクシーにして乗客をお迎えしたい」と述べ、全国主要都市にも順次展開したい意向を示した。

またトヨタは、東京都で走るタクシー500台に搭載した通信型ドライブレコーダーで収集される走行画像や車両データを解析。その結果から得られる渋滞情報をスマートフォン向けアプリで配信するサービスも18年春から始める。

次世代車では左側を電動スライドドアにした。開口部は高さ1.3メートル、幅72センチメートルで、地面からの高さは32センチと低くし、腰をかがめるのが負担となる高齢者や妊婦、背の高い人などが乗降しやすいようにした。

タクシー車両としては世界で初めて衝突回避などを支援する先進安全装置を標準設定。運転席・助手席の前面に加え、両サイド、前後席にカーテンのエアバッグ計6つを標準装備した。タクシーで主流のLPG(液化天然ガス)と電気モーターを組み合わせた1.5リッターのハイブリッド専用エンジンを採用した。

新型車の価格は約328万円(標準)、月1000台の販売を計画。累計52万台以上を販売した従来型のタクシー専用車「クラウンセダン」「クラウンコンフォート」「コンフォート」の生産は終了する。

トヨタ初の量産乗用車「トヨダAA型」が誕生した1936年当時、日本での車の普及率はまだ低く、乗用車の購入者もタクシーやハイヤーの業者が中心で、米国のゼネラル・モーターズ<GM.N>やフォード・モーター<F.N>の車が広く使われていた。そんな中、純国産車の量産を目指したのがトヨタ創業者の豊田喜一郎らで、AA型はタクシーなどとして用いられていた。

(白木真紀)