なぜ私はグーグルを解雇されたか
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注目のコメント
https://newspicks.com/news/2427564
ここで語られ尽くされた感もありますが、これは
第一にイデオロギーの問題であり
第二にシリコンバレーのテック社会の問題
第三に会社経営上の技術論の問題です。
イデオロギーとはそもそも永遠に分かり合える事のないその人や組織の根本的な立脚点の事をいいます。だから、どういうイデオロギーを持つかは自由だが、ウチのそれを否定したり、まして社内で改宗運動をやるんなら出て行きなさい、それがお互いのためです、という対応にも一定の筋はあるように思われます。
当人が書いた原文がこちらですが、ずばりタイトルから、グーグルの単一的イデオロギーがいかにバイアスによりダイバーシティ論を曇らせているか、とあり、内容はグーグルのイデオロギーを論理的に反論が続きます。
https://diversitymemo.com
ちなみにエコーチェンバーとは、同じ意見のひとばかりが集まるとそれが正論だと皆が信じ込む現象の例えでしばしば使われる英語です。
二点目は、シリコンバレーではわざわざ皆が頑張って女性の参画を推進しています。女性の起業家が足りない、プログラマが足りないと言ってみんなで頑張っているところです。それに「そもそも向いてないんだから頑張りなさんな」と言えば理屈はさておき相当な反感を受ける事はある程度仕方ないかと。また直接的には男女差だけを取り沙汰しているが、この理屈は人種差にも当然応用可能です。これはモノカルチャーの日本で想像するより重大な問題です。
最後三点目はテクニカルな話。いくら米国でも一発解雇は無いんじゃ、とか、解雇の替わりにグーグルは研修を受けさせるべきだったという論も出ています。
私は自分がスンダルピチャイ社長の立場ならこの三点目の対応は迷っただろうなとは思いますが、一点目、二点目の重大性を考えるとあえて強いメッセージとして行ったピチャイのジャッジの妥当性も理解できます。それぞれの立場によって、何を「問題提起」と考えるか、何を「固定観念を推進する」と考えるか、何を「根拠がある」と考えるか、何を「調査された」と考えるか、何を「抑圧された」と考えるかは違う。
自分は本件に関してその判断をするつもりもなければ、その議論の前提となる知識も有していない。また個別の性について統計的な差が優位にあったとしても、その差よりは、個々人の固有性のほうが大きいと肌感覚では感じている(平均で男性・女性が向いていることもあるかもしれないが、人財において個々人の固有性が与える影響のほうが多い、という考え方)。
ただ、本人が「根拠がある」と考えているもの、「フェアな判断が下らなかった」と考えているものについては検証されるべきだとも思う。下記がその10ページの文書。
http://bit.ly/2uz61rw
ちなみに、解雇についてGoogleのほうが分が悪い可能性も報道されている。それは表現の自由のもとで本件を提起したのではなく、労働条件の保護を規定する法律条文下で提起した質問という点とのこと(下記に詳細)。
http://read.bi/2uzBqKi本件、予想通り、10数年前にサマーズがハーバード学長を辞めた経緯とよく似ています。サマーズは、インフォーマルなセミナーですが、数学者で女性が少ない理由を生物的な差に帰する発言をして批判を浴びました。今回、解雇された方は、より直接的にこういう意見を述べたことが分かります。
企業のダイバーシティ研修でも「男脳と女脳の違い」といったことが平気で議論される(関係者からの苦情を聞いてます)日本にいると「この発言の何が問題か」よく分からないかもしれません。
言葉狩りとか逆差別という反応が容易に予想されるのですが、それは本質を知らない(勉強不足の)発想です。
女性は/(例えば)黒人は、脳の構造が●●ゆえに、××には向かない…といったフレームワークにより、女性やマイノリティは、数十年、数百年にわたり、基本的人権を侵害されてきました。ご存知ない方は、参政権が一部の男性にしか認められなかった時代について、少し検索してみるといいと思います。
日本における議論が、この方の解雇という一点に矮小化されず、こうした発言がなぜ問題とされるのか、歴史的文脈に広がることを期待します。