新規事業を潰してしまう3つの“マジックワード”

2017/7/24
NewsPicksは、J-WAVE「STEP ONE」(毎週月~木 9:00~13:00)と連携した企画「PICK ONE」(毎週月~木 11:10~11:20)をスタートしました。
24日は、スキルアップ・ビデオテクノロジーズ代表の八田浩さんが出演。「【保存版】最高のアイディアをボツにする、ダメな『企画会議』の治し方」(NewsPicks編集部)を題材に、について解説しました。

3つのマジックワード

サッシャ 今日は、「【保存版】最高のアイディアをボツにする、ダメな「企画会議」の治し方」というトピックにフォーカスです。
寺岡 解説してくださるのはNewsPicksの公式コメンテーター「プロピッカー」の八田浩さんです。
八田さんは、動画配信システムを開発するスキルアップ・ビデオテクノロジーズの代表でいらっしゃいます。おはようございます。
八田 おはようございます。
サッシャ これはどんな内容なんでしょうか?
八田 最近ものすごい勢いで改革を進めているパナソニックの「新規事業の立ち上げ方」に関する記事です。
サッシャ 何が変わってきているんでしょう?
八田 もともと、新規事業は大企業でも中小企業でも立ち上げるのが難しいんですけれども、パナソニックはボツ企画を集めて、「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」というテキサス州のテクノロジー系イベントに出したんです。これが面白い仕組みだと思います。
イベントでは、色んな家電のプロトタイプが出展されたんですが、そこにはボツ企画となったものも含めていたんです。
訪れた人々は、実際にモノを見ることで「これは面白い」と思うかもしれない。
さらに、そこでいいフィードバックがあれば、それをもとに製品化して、5~10年後のパナソニックの基幹商品になるかもしれないわけです。
その意味では、まだ上手くいっているかは分からないですが、こういう仕掛けができていることが面白いと思います。
サッシャ では、大概の場合において新規事業が潰されてしまうのは、どこに原因があるんでしょう?
八田 この記事にもありますが、新規事業を潰すマジックワードが3つあります。
それは、「市場が小さいんじゃないか?」「うちの強みを活かしてるか?」「まずはデータを持ってこい」です。
私もそうですけれど、色んな職種の人が、このマジックワードによって、潰された経験をしてきていると思います。
大体これを言われちゃうと、新規事業の提案者はビビッて企画を引っ込めちゃうんです。
サッシャ 新規事業ですから、データは少ないわけですけどね。
八田 普通はないですね。一番わかりやすい新規事業の成功モデルは、アップルのスマートフォンです。
サッシャ それまで、BlackBerryがあったとはいえ、スマホの市場はほとんどなかったですよね。
市場規模が小さいと言えばそれまでだったのが、今ではみんなが持っているまでに広がりました。
八田 当時、みなさんはフィーチャーフォンを使っていたと思いますので、そこでiPhoneの概念を説明されても、ほとんどの人はボツにしていたと思います。
サッシャ それまでのアップルの強みを活かしているかといえば、そうでもないわけですよね。
八田 そうですね。どちらかというとパソコンメーカーでしたから。これが、3つのマジックワードに潰されなかった新規事業の例です。

なぜ潰れてしまうのか

サッシャ 経営者側としては、「新規事業が潰れたら会社の体力が危なくなるんじゃないか」と思うから、こうしたマジックワードを言うわけですよね。
八田 そうですね。もしくは「既存のビジネスが忙しくて、そんなことをやっている場合じゃない」と、どんどん潰していくわけです。
要は、経営者も儲かると分かっていればやりますけれど、アイデアの時点ではどうなるか分からないので、今売れているものを売らずに、10年先を見据えて新しいものを売るのはなかなか難しいわけです。
ただ、他の企業もそうですが、パナソニックも事業ポートフォリオを見ると、昔と今ではかなり変わっています。多分、みなさんのイメージとは全然違う会社になっていると思います。
サッシャ そうなんですか。
八田 例えば、最近話題になったこととして、電気自動車メーカー・テスラへの電池供給がありますが、そういったことは一般ユーザーの目にはなかなか触れません。
サッシャ ハイブリッド車に載せる電池なども、世界的なシェアを持っていますよね。
では、今回の取り組みも踏まえて、日本を代表する企業の一つであるパナソニックは、今後良い方向に変わっていく可能性を秘めているんでしょうか?
八田 そう思います。そして、日本の他の大企業もこうした仕組みを真似するというか、事業ポートフォリオを変えていかないと、将来が危なくなることにもつながると思います。

新規事業に必要な情熱

サッシャ ただ、企業が拡大するときに、新規事業に手を出して失敗するパターンもあります。どこを取捨選択するのかも難しいですよね。
八田 だからこそ、戦略的に失敗しなければいけないんです。新規事業は失敗の中から生まれてくると思うんです。
もちろん、あんまりお金をかけて失敗しちゃうと会社が傾いちゃいますので、いい感じの確率で失敗させながら、未来の種を育てていかなきゃいけないと思います。
サッシャ なるほど、失敗を恐れちゃいけないと。
寺岡 一度ボツになった企画でも、自分がこれをやりたいと思うものであれば、とっておくのもいいかもしれないですね。
八田 そうですね。もしくは、もう一度社長にぶつけてみる。そこで社長に「これはやらなきゃいけない」と思わせなきゃダメですね。
個人的にも思うのですが、新規事業って最後は情熱を持ったオーナーが経営者や管理職の壁を突破しなければいけません。
サッシャ なるほど、情熱ですね。われわれも、この「STEP ONE」の会議で「そんな音楽を聴いている人いないよ、市場が小さい」「番組出演者二人の強みが活きていない」「そもそもこんなコーナーを聴く人がいない、データがない」と、言わないようにしましょう。
寺岡 そうですね、チャレンジしていきましょう(笑)。
サッシャ 八田さん、ありがとうございました。
八田 ありがとうございました。
※本記事は、放送の内容を再構成しています。
今回のニュースをはじめとした八田さんのコメントは、ぜひ以下からチェックしてみてください。
25日はNHK出版編集長の松島倫明さんが出演予定です。こちらもお楽しみください。

【番組概要】放送局: J-WAVE 81.3FM
番組タイトル: PICK ONE
ナビゲーター: サッシャ、寺岡歩美(sugar me)
放送日時: 毎週月~木曜日11:00~11:20(ワイドプログラム『STEP ONE』内)
番組WEBサイトはこちらをご覧ください