ユーザベースは11月29日、個人投資家に向けた説明会を開催しました。懇親会も含めて約2時間にわたって行われた内容をご報告します。
『【ユーザベース】インフォグラフィックで見る「創業物語」』をアレンジしたミニ動画が流れた後に、ユーザベース代表取締役社長(共同代表)の新野良介と梅田優祐が登壇。「当社事業と3Q決算のご紹介」をさせていただきました。
(質疑応答をまとめた後編はこちら

「経済情報で、世界をかえる」

新野 今日はたくさんの方にお越しいただきましてありがとうございます。創業ストーリーの完成動画は今日初めて見たんですが、恥ずかしいですね(笑)。NewsPicksを使って新しいIRを目指してみようと作成しました。
創業ストーリーに補足します。創業前、私と梅田は投資銀行で一緒に、毎日遅くまで働いていました。お客様に資金調達の提案、もしくは合併しませんか?という提案のための提案書を作っていたんですね。
提案書のために、あっちこっちから数字をとっていた、それにものすごく苦労しまして。テクノロジーは進化しているのに、職場ではGoogleを検索して、Yahoo!ファイナンスを見て、かなり非効率だなと。これを解消しようという思いで創業しました。
ですから「経済情報で、世界をかえる」は創業のときからの原点で、今もあるものです。
TwitterやFacebookの登場でプライベートはこの10年、劇的に変わっているはずです。BtoCの分野はテクノロジーでどんどん進んでいるのに、企業の現場では紙に埋もれ、Googleで検索してもいい情報が出てこない。これを変えていくために、ビジネス情報のプラットフォームを提供していく、それが「我々がなぜここにいるのか」という使命でありミッションです。
創業後最初にスタートしたのが企業・業界プラットフォームのSPEEDAというBtoBサービスです。そして2013年からBtoCの経済ニュースプラットフォームNewsPicksを提供しています。
NewsPicksはこの説明会の募集でも使っていたので知っている方が多いと思いますが、SPEEDAについてご存じの方はどれくらいいらっしゃいますか?(会場挙手)。ありがとうございます、会場の3分の1ほどですね。
ユーザベース代表取締役社長(共同経営者) 新野良介

BtoBとBtoCサービスを持つ強み

新野 では、SPEEDAをサービスデモも含めてご紹介いたします。例えば部長から「ファーストリテイリングについて1時間で調べておいて」と言われたとします。これはGoogleなどで検索しても、求める情報を集めるのは結構大変です。
SPEEDAではアジアの非上場データを含め、世界の上場事業のデータが網羅されています。検索して資料の自動作成ボタンを押すと、コンピューターがみなさんの代わりに資料を作ってくれます。本日の終値ベースで今どんな状態なのか、株式、決算、収益性、競合との比較などもできます。世界のカジュアル衣料品業界がどんな状態なのかも見ることができます。
グローバルでも、例えば「マレーシアの冷凍倉庫に関する戦略」を調べるとなると大変な情報量になります。しかしSPEEDAがあれば解決してしまう。グローバルなスタッフが待機しているサポートデスクがあり、皆さんの代わりに調べることも可能です。本日は後ろのほうに体験ブースもご用意していますので、お時間がある方はぜひ試していただければと思います。
ユーザベースの最大の特徴は、「経済情報で、世界をかえる」というミッションに基づき、BtoBとBtoCのプラットフォームの両方を持っているということです。この両方で成功している企業は世界中で見ても少ないです。

スマートフォンとソーシャル時代がNPを後押し

梅田 皆さん、こんばんは。私も新野と同じく、創業ストーリーの映像を自分たちも見るとは思っておらず、じっくりと見せられると恥ずかしいですね(笑)。
ユーザベース 代表取締役社長(共同経営者) 梅田優祐
NewsPicksは2013年にスタートしました。「経済情報で、世界をかえる」ためには、経済に関する情報をおさえなければならないと創業当初から考えていました。経済には①企業情報、②ニュース、③ビジネスパーソンの3大情報がありますが、この3大情報をどこよりも広く深く集めた企業が「ビジネス界のGoogle」になれると思っています。そのために邁進(まいしん)してきました。
特にニュースはビジネスコンテンツのキング。必ずやらなければならないということを我々はずっと思っておりました。
後押ししたのはスマートフォンとソーシャル。この2つが一気に生活に入ってきたことで、経済コンテンツの流通の仕方、そしてメディア業界も一気に変わっていく。このタイミングで絶対とりかからなければいけないということで、開始に至りました。
会場の中でNewsPicks使ったことがある方は……(会場挙手)。ありがとうございます。ほとんどの方ですね。ではサービスの説明は省かせていただき、数字のご説明をします。
(この後、ユーザベース2016 3Qの決算をご説明しました。決算について詳しくは『【ユーザベース】スライドで見る「最新決算」20163Q』をご覧ください)

【SPEEDA】法人営業向け新機能にフォーカス

続いてSPEEDA 日本事業統括の佐久間衡から、SPEEDAの事業会社向けの展開について発表しました。
佐久間 SPEEDAは「BtoB版のGoogleを目指す」としている通り、誰でも直感的に使える使いやすさが大きな特徴です。SPEEDAの特徴は、①誰でもすぐに使える、②あらゆるビジネス情報をカバーしている、③人的なサポートが充実しているという3点です。
今まで金融機関やコンサルティングファームなどのお客様が中心でしたが、「誰でもすぐに使える」という特徴によって、事業会社のお客様が増えています。
事業会社の顧客の伸びはグラフでも確認していただけます。円グラフの水色の部分が事業会社の顧客の割合を示していますが、3分の1を超えるまで伸びてきています。
海外市場に次いで成長率が高いのが日本の事業会社です。大体年率50%近くで成長しております。伸び率ではなく、増加している契約数ですと、日本の事業会社が一番です。
事業会社の中で、どういった部署に導入されているのかと申しますと、大きく2つ、経営企画部と法人営業部です。
経営企画部では、経営戦略の立案、競合企業の分析、新規事業開発のリサーチ等にSPEEDAが用いられています。法人営業部では、営業戦略の立案、ターゲット業界の特定、ターゲット企業のリストアップ、提案資料の作成等に使われています。
この2つを比較して、経営企画部の利用法に関しては、旧来からのお客様であるコンサルティングファームと似た使い方です。
一方、法人営業部の利用方法は、旧来のお客様の利用法と大きく異なるので、ここに特化したサービスの開発が重要だと考えており、それを加速させています。
ユーザベース 日本事業統括 執行役員 佐久間衡

2クリックでターゲット企業をリストアップ

こちらが、法人営業部をターゲットにした直近の取り組みのタイムラインです。誰でも簡単に、2クリックでターゲット企業のリストが作成できる機能を今年7月に正式リリースいたしました。
9月には、Salesforceと連携し、ターゲット企業のリストが、既存顧客のリストから自動生成される機能のα版をリリースいたしました。
10月には、経費精算システムをグローバルで提供されているコンカーさんと提携し、人工知能を活用したマーケティングプラットフォームを構築していくことを発表しました
「ターゲットリスト機能」の使い方を説明します。まず「オフィス需要が高そう」「広告宣伝費が伸びそう」といった、営業確度の高そうなシナリオを選択します。
そして、地域、業種、規模などで絞り込みます。この2つを掛け合わせるだけで、簡単にターゲットリストが作成できます。
こちらがSPEEDAの「ターゲットリスト機能」の画面です。例えば「広告宣伝費が大きく伸びる企業」と入力した場合、それが自動で、SPEEDAの中で検索できる「広告宣伝費が(50)百万円以上」「対前年売上成長率が(5)%以上」といった条件に変換されます。
そして条件を満たす企業が「企業リスト」としてリストアップされます。

「自動ターゲティング機能」で潜在顧客を分析

次に、開発中の自動ターゲティング機能を説明します。
まず、Salesforce等に管理されている既存顧客データとSPEEDAの企業データのマッチングを行います。
マッチングすると、その結果、SPEEDAのデータを用いた分析が行えます。業界の分布、地域的な分布、規模の分布、さらに、先程の営業シナリオのどれがヒットしているか、ホームページやプレスリリースに特徴的なキーワードが含まれているか否か。
その分析結果から、類似度が高い企業を、潜在顧客としてリストアップします。この潜在顧客リストを基に、Account Based Marketing、ターゲット企業を特定することから始めるマーケティング活動をスタートすることができます。
また、名刺管理ツールのSansanと連携すれば、潜在顧客の中で、社内の誰かがその企業の方と名刺交換しているかを把握でき、すぐにアプローチできる企業をリストアップすることもできます。
最後に、今開発中の自動ターゲティング機能の開発画面をお見せします。
既存顧客がどういった属性を持つ企業が多いのかグラフを通して分かり、かつ、今後のポテンシャルが大きい企業属性、業界、地域、営業シナリオは何か、ということが明確に分かります。
これは一度リストアップして終わりではなく、使い続けることで、営業結果に応じてスコアを修正していく機械学習の要素が入っています。
現在は、SPEEDAをご利用のお客様にオプションとして、別途料金をいただいて提供することを考えています。
正式版のリリース時期は来年春を目指しており、プレスリリースを出したコンカーさんのように、現在10社くらいのお客様と先行して実証実験を開始しています。

【NewsPicks】経済ストックコンテンツのプラットフォームに

続いて、NewsPicks CTOの杉浦正明より、2016年12月から登場する新機能の紹介を行いました。
杉浦 「ブック」は有料コンテンツをまとめて読める機能です。初回リリースでは90特集、900本以上の記事がまとめ読みできます。
コンテンツを作る機能、マネタイズの機能に加えて、NewsPicksに「並べる機能」が付加されるイメージです。
リリース当初は自社コンテンツのみですが、将来的には他社コンテンツも格納し、ストックコンテンツのプラットフォームとして進化させたいと考えています。例えばビジネス記事を提供するコンテンツプロバイダーに記事を提供していただき、ストックがたまってきたら「ブック」として提供する。そういった読み応えのある記事や特集をすべてNewsPicksに集めることが可能になります。

「キーワードウォッチ」でより個人に合わせたニュースを

2つ目の新機能「キーワードウォッチ」は、気になるテーマを登録することで、紐づくニュースだけが流れ、一覧することができるものです。また、話題になった記事についてはモバイルにプッシュ通知で送るなど、ニュースを見逃すことが少なくなります。
今までのNewsPicksは、ニュースアプリとしてすべてのユーザーが同じニュースを見ていました。今後はよりパーソナライズされ、個人に合わせて重要なニュースをお届けします。
またブック機能のリリース記念として、「ブック」掲載の有料記事を無料で読めるキャンペーンを12月1日から1週間実施します。
2016年話題のニュースをクイズで楽しみながら、そこに有料コンテンツが紐づいているといった仕掛けもあります。ぜひSNSでキャンペーン情報を拡散していただければと思います。
ニューズピックス 取締役 CTO 杉浦正明
(注:ブック機能およびキャンペーンは、12/1に正式リリースしました )

質疑応答、個人投資家との懇親会も

プログラムの最後は、代表取締役社長の梅田、新野が再び登壇。伊井哲朗氏(コモンズ投信株式会社 代表取締役社長兼CIO)をモデレーターに質疑応答を実施いたしました。
NewsPicksで受け付けた質問のほか会場からも質問が寄せられ、時間を延長して終了となりました。質疑応答の採録リポートは以下の記事をご覧ください。
【採録】「メディアは上場すべきか」「株主優待にNewsPicks有料オプションを」などに回答 ユーザベース個人投資家説明会 後編