ネスレの「脱おかし」戦略。次なる主戦場はヘルスケア(後編)
2016/06/09, NewsPicks編集部
前編:ネスレの「脱おかし」戦略。次なる主戦場はヘルスケア(前編)
食品と医薬品のはざまで
ネスレの幹部であるグレッグ・ベアール(46)も、キットカットをあまり食べない。水泳が得意で、毎日平均2万歩は歩くというベアールは、ベェトゲの研究施設と同時期に設立された子会社ネスレ・ヘルスサイエンスのCEOだ。
この会社の業務は、研究所で開発したものを商業化すること。「食物と医薬の間の新しい産業」を開発するという使命を果たすため、ベアールは3000人以上のスタッフを抱えている。
同社はアルツハイマーの患者に効果が期待される粉末のシェイクを製造するコロラド州ボールダーのアクセラのような新興企業に投資してきた。
ベアールによれば、ネスレ・ヘルスサイエンスには年間100億スイスフランの売り上げを見込めるビジネスとなる可能性がある。世界最大の食品会社にとってもそれは無視できない収益源だ。
ネスレの昨年の製菓部門の売り上げはおよそ90億スイスフラン、さらに乳製品・アイスクリーム部門が150億スイスフラン、そして粉末・液体飲料部門(特にコーヒー)は、約190億スイスフランだった。
ベェトゲの研究所はまだ製品を生み出すところまではいっていないが、ネスレ・ヘルスサイエンスは買収と独自の開発事業によって、数多くのブランドを所有し、数十の製品から年間約20億スイスフランの収益をあげている。
そのなかにはてんかん患者向けのミルクに似た飲料「ベタクィク」、疲労回復と筋肉機能回復のためのフレーバー付き飲料「メリテン・ジェネルビス」、がん患者向けの高タンパク質飲料「リソース・サポート・プラス」、医師の監督の下で使う減量のための「オプティファスト」などがある。
製品のなかには、米食品医薬品局(FDA)によって「メディカルフード」と規定されているものもある。
newspicks.com
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コメント
注目のコメント
「健康を維持するために何を食べるべきかは、数十年前からわかっている。それは自然食品をバランスよく食べることだ」これは皮肉だし、ネスレの食品を食べない事。
ネスレのロゴの下にある「good food,good life」どこにも健康とは書かれていない。粉ミルクよりも母乳のほうが総合的に見てイイに決まっている。ただし粉ミルクがあったからこそ、様々な家庭に幸せをもたらした事も重要な事実。
時代に合わせて変えていくべきだと思うが、なんのために製品を世に送り出したのかを常に考え続け、どんなものを作るべきか、それに答えを出し続け、イノベーションを起こし続けてきた事がネスレの凄さだと思う。
必ずこの状況を打破するだろうな。健康は、今や社会課題ですね。ヘルスケアビジネスを「次世代の事業の柱」と考えている企業は多いです。ネスレの場合も「社会課題の解決に貢献し、新しい価値を生み出す」と歓迎されるため、CSVとのすわりも良く、企業のイメージアップにもつながります。
日本は成熟社会で、高齢化問題もあるため、今後は、ヘルスケアビジネス単体だけでなく、その周辺(シニアビジネス・住宅・ロボット・パーソナルモビリティー・保険・サービスなど)も加わり産業の領域が、もっとぐっと広がるビジネスに成長すると思います。
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