(Bloomberg) -- ソフトバンクグループのニケシュ・アローラ副社長の前期(2016年3月期)の報酬が約80億円に上ることが分かった。孫正義社長の後継者候補であるアローラ氏に欧米企業の経営者並みの報酬を支払った。

同社の株主総会の招集通知によると、アローラ氏は前期、同社と主要な子会社の役員として64億7800万円を受け取った。基本報酬や賞与に加え、18億8700万円の株式報酬が含まれる。このほか、同社取締役になるまでの主要な子会社からの役員報酬として15億6400万円を手にした。

アローラ氏は、米グーグルの最高事業責任者を務めた経歴を買われ、14年9月にソフトバンクに移籍。現在は副社長として、孫社長に次ぐ地位にあり、海外での買収を主導している。孫社長はアローラ氏について最も有力な後継者候補だとしている。アローラ氏は15年3月期には、契約に伴う一時金も含めて165億5600万円の報酬を受け取っていた。

岩井コスモ証券の川崎朝映アナリストは「国内の基準で考えるとかなり多額だが、海外では同等の報酬を受け取っている人もいる」と述べた。また「海外のM&A案件をまとめているので、ある程度の実績は示している」と分析した。

ブルームバーグのデータによると、アローラ氏の報酬は米アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)や米ウォルト・ディズニーのロバート・アイガーCEOと同水準。ソフトバンクでは孫社長が1億3000万円、取締役のロナルド・フィッシャー氏が20億9600万円、宮内謙氏が3億1700万円を受け取った。

東京商工リサーチによれば、アローラ氏を除けば、これまでの日本企業の役員報酬の最高額は15年3月期にオリックスの宮内義彦氏が受け取った54億7000万円。宮内氏の場合、実績に対する功労金(44億6900万円)が大半だった。

26日のソフトバンク株は一時、前日比4.5%安となる5930円まで売られ、約3週間ぶりの日中下落率となった。終値は同3.7%安の5975円。株式を保有する中国のアリババ・グループ・ホールディングが、会計上の慣行と米連邦法違反の疑いで米証券取引委員会(SEC)の調査を受けていると明らかにし、株価が下落した影響を受けた。

(最終段落に26日の株価の動きを追加しました.)

記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 天野高志 tamano6@bloomberg.net, 東京 Pavel Alpeyev palpeyev@bloomberg.net, 記事についてのエディターへの問い合わせ先: 宮沢祐介 ymiyazawa3@bloomberg.net, 浅井秀樹, 平野和

©2016 Bloomberg L.P.