学歴の経済学〜コスパから見えてきた「学歴」の真実〜
2016/03/10, AERA
大学進学率50%時代を迎えたいま、大卒が珍しかったころに比べて「学歴」の価値が下がっていることは、論をまたない。しかしいまも、私たちは「高学歴」を得るために多額の資金を教育に投じている。この投資は、それに見合うリターンをもたらしてくれるのだろうか。
なぜ私たちは学歴に投資するのか
1千万円も惜しくない
6歳の娘の目から、ハラハラと涙がこぼれ落ちた。あれは喜びの涙だったのか。それとも安堵の涙だったのか。3年間の努力の末に手にした小学校の「合格通知」を持って、母親である女性(38)が幼稚園に迎えに行った時のことだ。
受験当日の帰り道、娘は自信がなかったのか、電車の中で天井を見上げながらつぶやいた。
「この小学校に受からないと、ダメなんだよね」
胸がつぶれそうになったが、一人娘を名門私立小学校に入れようという彼女の思いがぶれることはなかった。そのために、仕事も辞めた。娘の将来、つまり「学歴」には代え難いと考えたからだ。
夫は会社を経営していて生活には余裕がある。娘は4歳になると同時に保育園からお受験幼稚園に転園させ、個人指導のお受験教室、大手塾、アート教室にも通わせた。毎月の教育費は15万円。名門小の合格通知は総額500万円以上の投資に対する「リターン」だった。
教育経済学者で慶應義塾大学准教授の中室牧子さんの著書『「学力」の経済学』が話題だ。経済学の理論や手法を教育に応用することを試みた本だ。
この特集では中室さんの手法にならい、「学歴」についてデータに基づいて考察することを試みた。
中室さんは著書で、多くの親たちは科学的根拠ではなく「どこかの誰かの成功体験や主観に基づく逸話」を頼りにわが子を教育していると指摘しているが、同様のことが学歴に対する投資にもいえるのではないかと考えたからだ。
娘はハイブリッドに
中室さんの協力を得て、アエラが会員制転職サービスを展開する「ビズリーチ」の会員とアエラネットの会員を対象に行ったアンケートの結果はこちらだ。
「娘は一人っ子で親が死んだら頼る人はいない。どんなにお金がかかろうと、自分でゴハンを食べていけるように育てたい。絶対に必要なのが学歴です」という冒頭の女性の考え方も、彼女自身の個人的な体験に基づいていた。
附属の幼小中高を持つ女子大に、公立高校から進学した。内部進学組ではないとわかると露骨に「なーんだ」「メッキだね」などと言われた。就職したネットベンチャーで親しくなった人事部長は、女性が採用されたのは「名門女子大出身だから」だとこともなげに言った。
その後、女性自身も採用を担当したが、説明会に呼ぶのはいつも「早慶上智」以上の学生。入社希望の学生は常に「早稲田のあの子」「東大の彼」と大学名で認識されていた。
「学歴がなければ、人生のスタートラインにすら立てない。そして女の子には、最終学歴だけでなく『毛並みの良さ』も求められている。娘には、学歴と毛並み、女子力を兼ね備えたハイブリッドになってもらいたいんです」(女性)
アンケートでは、この女性のようにわが子の学歴を「とても重要」と考える人が3割。「ある程度重要」と合わせると9割が「学歴は重要」と回答した。
理由を尋ねると、「後で変えることができず、かつ人生の多くの場面で関わってくるから」「地頭のよさよりも先に学歴に目が行くという日本文化のため」「専門性は高いが偏差値は低い学部に入ったため、友人たちと年収の差を感じる」など、学歴不問なるものが建前でしかないことを、身をもって感じている様子がうかがえた。
同様の理由で、半数以上の人がわが子に「旧帝大+早慶上智+国立トップ」以上の高学歴を期待し、それを得るために「投資してもいい」と考える教育費(就学前からの費用を含む)も、相当に高い。
自身が「海外大+海外大学院」卒では1170万円、「旧帝大+早慶上智+国立トップ」卒だと944万円、その他の学歴グループでも750万円前後。あくまでも、実際に「かけている額」ではなく「かけてもいいと考えている額」だが、高学歴層ほど多額の教育投資を考える傾向が見て取れる。
学歴は客観的な尺度
教育費として実際にかけている金額も尋ねたが、十分なデータは得られなかった。回答者の8割は男性で、具体的な額を把握していなかったと推測できる。
代わりに文部科学省の「子供の学習費調査」(2014年度)から類似の数字を拾った。
幼稚園から高校まですべて公立の場合の教育費は約523万円、私立の場合は約1770万円。塾や習い事の「学校外活動費」を学年別にみると、公立の場合、高校受験を控えた中3が最多で年に約44万円。私立では中学受験を控えた小6で74万円に達した。
アンケートで「最も投資したい時期」を聞くと、「高校」が最多の3割だった。
就学前から高校まで一貫して、教育費に「月額8万〜10万円を投資してもいい」と答えた金融関連会社勤務の女性(47)は、
「大学も大事だが、小中高の『学歴』のほうがもっと大事。中高でどの学校に行ったかが地頭の良さを示す指標になる」
と話す。自身は女子御三家の一つ、女子学院の出身で、小学生の息子がいる。
「話していて感覚が似てるとか、わかりあえる、と感じる人は、だいたい御三家出身者であることが多いんです。地方の公立出身の人とは考え方が違うな、と。息子を公立に行かせるという選択肢は私にはありません」
私立小の授業料が月5万円、学童と英語、スイミングも加えて計9万円。女性にとって学歴は、努力できる人間であること、経済力のある家庭に育ったことを証明してくれるものだ。
アンケート回答者の中には、「『グローバル化』が叫ばれる時代、日本での学歴はそれほど意味を持たない」という人もいたが、女性はきっぱりと言う。
「他人に対する証明だけじゃない。『自分は頑張れる人間だ』と信じていられることで、自信を持って外に出て行ける」
そして逆に質問された。
「人を客観的に判断する材料として、学歴に代わる尺度なんてありますか?」
「学歴」は投資に見合うリターンをもたらすのか
「過剰投資」を直視する
多くの親が学歴を重視し、そのために多額の投資を厭わない。だが、果たしてそれは将来、子どもの収入というリターンをもたらすのだろうか。それを検証するには時間がかかるので、アンケートでは回答者自身の学歴と年収の関係を明らかにすることを試みた。上記のグラフ5を見てほしい。
オレンジは学歴グループ別に見た回答者自身の年収の平均値。最も年収が高かったのは「旧帝大+早慶上智+国立トップ」出身者で、以下、「海外大+海外大学院」「GMARCH+その他国立」「その他私立」「国内大学院」「高校+専修専門+短大」と続く。
一見、入学の難易度が高いほうが収入も高いようにも見えるのだが、分析した前出の中室さんによると、ことはそう単純ではないらしい。
「偏差値が高い大学に行ったから収入が高くなったのか(因果関係)、もともと高収入を得られるような能力の高い人が偏差値の高い大学に行くことができたのか(相関関係)。そこはなんとも言えないんです」
企業はシグナルで判断
中室さんによると、教育が収入に与える影響について説明する学説は大きく二つある。「人的資本論」と「シグナリング論」だ。前者では、
「追加的に教育を受けたことで技術や知識を身につけ生産性が上昇するので、収入が増える」と考える。
一方、後者では、「企業は労働者の能力が高いか低いかわからないので、『偏差値が高い大学卒』というシグナルで判断している」と見る。
両説のいずれかが正しいというわけではなく、問題になるのは「その労働市場でどちらの影響がより強いか」だ。日本の場合は「シグナリング論」の影響が強い、というのが中室さんをはじめとする多くの教育経済学者の見立てだ。
「民間企業が大学1年生を青田買いするという事態が起きるのは、日本の労働市場が、大学で学ぶ知識や技能を評価していない証しでしょう」(中室さん)
就職活動が大学の学期の真っ最中に行われること、企業が学生の成績をほとんど聞かないことなども、シグナリング論で説明がつくという。
アンケートでは、自分の収入は学歴に見合っていると感じているのかどうか、つまり「学歴のコスパ」についての実感を尋ねた。
「見合っている」と感じている人は5割強。3割近くが「見合っていない」と答え、逆に2割弱は「学歴以上の収入を得ている」と回答した。学歴別にみると、「海外大+海外大学院」「国内大学院」「その他私立」に「見合っていない」と思っている人が多かった。
「その他私立」は年収そのものが他の大卒グループより若干低め。「自分たちは、より偏差値の高い大学卒と、仕事上の能力は変わらないのに、なぜ収入は低く設定されているのか?」という思いがあるのだろうか。
中室さんは、これこそが日本の労働市場でシグナリング論の影響が強いことの表れだと見る。つまり、学歴とは本来、人間の能力の一部の評価でしかないにもかかわらず、学歴があたかもその人のほとんどの能力を説明するかのごとく扱われてしまう。
例えば暗記に強くて旧帝大に行ったAさんと、思考力など別の面では能力はあるが、暗記は苦手なために旧帝大より低い偏差値の大学にしか行けなかったBさんとでは、Aさんはシグナル効果で高収入が得られるが、Bさんはその能力に比して収入が低く設定されるといったミスマッチが起きるのだ。
子どもに高年収を期待
「海外大+海外大学院」「国内大学院」の高学歴層がコスパが悪いと感じていることも、シグナリング論の影響の強さで説明できる。
学歴があくまでシグナルでしかないために、追加的に勉強して身につけた知識や技能が正当に評価されない。だから「海外に行ったり院に行ったりして他の人たちに比べて多額の投資をしたのに、それに見合うほどの高収入は得ていない」と感じてしまうというわけだ。いずれにしても、個人や社会にとっては損失だ。
今回の調査ではもう一つ興味深い結果が浮かび上がった。「収入が学歴に見合っていない」、つまりコスパが悪いと感じているグループのほうが、いいと感じているグループより、子どもの学歴について「とても重要」と答えている割合が多いのだ。
さらに、「もし子どもが希望通りの学歴を得ることができれば、40歳時点でどのくらいの年収が得られると期待するか」という問いに対し、「旧帝大+早慶上智+国立トップ」以外は、おしなべて、現在の自分の年収よりも高い額を見積もった。
この結果について中室さんは、「経済全体が右肩下がりになっている中で、子どもが親以上に稼ぐというのはかなり非現実的」と話す。残念ながら私たちは、学歴に期待しすぎて、過剰な投資をしていると言っていい。
学歴以外に何を信じればいいのか
大学に行かない選択肢
学歴とそれに対する投資のあり方をどう考え、適正化すればいいのだろうか。この問いには「正解」などないが、ヒントを提供してくれる事例はある。
例えば、2人の娘がともに大学に進学しなかったというネスレ日本代表取締役社長兼CEOの高岡浩三さん(55)のケースだ。ネスレ日本は、グローバル企業ネスレの中でも高い利益率を更新中。高岡さんは日本を代表するマーケッターとして知られる。
娘たちの教育で意識したのは、「自分の人生をマーケティングする。それが幸せにつながる」ということだ。
娘たちが高校生になると、「どんな仕事がしたいか」を徹底的に考えさせた。2人は戸惑いつつも、それぞれ進路選択の時期までに、心からやりたいと思える仕事を見つけたという。
選んだ進学先は専門学校。希望の職業に就くための教育課程が大学になかったからだ。担任教師は「成績がいいのにもったいない。どうして大学に行かせないのか」と残念がったが娘の決心は揺るがず、高岡さんもそれを応援した。
高卒と大卒に差なし
頭では理解できても、実際にはなかなかできないことだ。高岡さんは仕事で、学歴が万能ではないことを体験していた。
高岡さんがグループ会社に出向していた時に手がけて社会現象になった、キットカットの受験生応援キャンペーン。出向先の会社の社員は大卒ばかりではなく、支店長には大卒も高卒もいたが、学歴による能力差は全くなかった。
高岡さんは、スイスのネスレ本社との仕事を通してヨーロッパの若者たちが早い時点から人生と仕事について考えていることや、大工や靴職人など専門職の養成制度が確立されていて、ホワイトカラーと同等に稼げる仕組みがある社会も見てきた。
社長に就任するとすぐ、それまでの学歴を基準とした採用を廃止。昨年度からは、「ネスレへの本気度」「考えて行動する能力」を見るために、8日間連続で取り組む課題を出すことにした。それは、実社会で直面するような、答えが一つではない問題だ。
ホワイトカラーの仕事はやがて人工知能に取って代わられる。高学歴ホルダーの幸せが担保された時代は終わった、と高岡さんは見ている。
「世界は変化しているのに教育システムはイノベートされていない。何をやりたいのかも考えずに大学に進学し、なんとなく就職するより、自分の人生を早い段階で考えたほうがいい」
違うと思ったら、再び自分で考えて軌道修正すればいい。学びたくなった段階でどんなことも集中して学べばいい。自身も今年10月から、マーケティング学者フィリップ・コトラー氏と共同で開発したマーケティングについてのeラーニングプログラムを開講する予定だ。
海外ではいま、高等教育よりも注目を集めているものがある。非認知能力と就学前教育だ。
IQや学力テストで計測される「認知能力」に対して、「非認知能力」は、自制心や協調性、忍耐力、誠実さなど、目に見えない気質を指す。これまで「生きる力」などと言われてきたものに近い。
それが、子どもの将来の経済的・社会的成功に大きな影響を及ぼし、しかも就学前から鍛えることが重要なのだという。
この説は、ノーベル経済学賞を受賞したシカゴ大学のジェームズ・ヘックマン教授が、心理学者らとともに1960年代からの長期にわたる大規模追跡調査で導き出した。
前出の中室さんも言う。
「日本では大学受験を意識して、多くの親が多額の投資をしていますが、最も収益率が高いのは就学前教育への投資。これは、ほとんどの教育経済学者の一致した見解です」
アンケートにも、こんなふうに答えた人がいた。
「息子に東大に行ってほしいとは思わない。それより『ユニークだな』とか『面白い奴だな』と言われる人になってほしい」
東大を卒業後、10回近い転職を経て、外資系のアクセサリーブランドに勤務する吉井清さん(49)だ。数々の職場で多くの同僚と仕事をする中で、いいアイデアを思いつきそれを実行していく力と、学歴の間には何の相関もないことを実感してきた。
学びたいから東大へ
いろいろな国の多様な価値観を持つ人が集ういまの職場では、日本の学歴は意味をなさない。問われるのは、仕事の能力と人間関係を築く力だ。
「ユニークな人になる」ことを目指すなら、高学歴のための勉強はあまり役に立たないのではないか、と吉井さんは言う。自身が通った千葉県の県立高校は生徒の家庭環境もさまざまで、卒業後、就職する友人もいた。
「バラエティーに富んでいて面白かった」
しかし、東大では都内の私立中高一貫校出身で、似たような家庭環境の友人が多かった。
「成績もいいし、知識もあるんだけど、高校の同級生や地方の公立校から来た子のほうが、ぶっ飛んでて面白かった」
6歳の息子を、多額の投資をして日本の高学歴を目指すコースに乗せようとは思わない。代わりに英語だけは早くから学ばせるつもりだ。
逆に、東大卒という学歴に「すごく恩恵を受けた」と話すのは、教育ベンチャーRISU Japan取締役、加藤エルテス聡志さん(35)だ。東大で学んだデータ分析の手法や深い専門知識を持つ人たちとのネットワークが今の仕事にとても役立っているという。
そもそも加藤さんの場合、記号的な意味で「東大」を目指していたわけではない。高校は「ここでいい成績をとることにあまり意味がないから」と中退。その後、東大を目指すきっかけを与えてくれたのは母の恩師だった大学教授だ。
彼の家に「ハウスキーパー」として入り浸り、学問や人生の話を聞くうちに、心から勉強したいと思った。東大を選んだのは、偏差値が高いからでも「東大卒」の学歴が欲しいからでもなく、「学びたいことがあったから」だ。入学してからは、興味のある授業には片っ端から出席した。
加藤さんがいまRISUで提供するのは、算数の家庭学習サービス。子どもたちに好きなことを勉強する楽しみを知ってもらいたい。さらに机に向かう「勉強」以外に、好きなことに没頭できる時間的余裕を持ってほしいのだという。
ビッグデータの分析から作りあげた学習法で、効率的に学べば、時間が作れる。何かに夢中になることで、学びたい意欲が湧いてくる。願うのは、子どもたちにそんなサイクルが生まれることだ。
慶應義塾大学の中室牧子准教授に聞く
企業の採用の「学歴依存」がスキル・ミスマッチの元凶
今年も就活シーズンに突入しました。企業は相変わらず学歴や偏差値を採否の判断として重視しているように思われます。なぜでしょうか。
家族や住居など不当な採否につながる可能性がある質問は「してはいけない」ことになっている。
一方で、学歴や偏差値は部分的ながら、本人の潜在能力や保護者の社会・経済的背景を説明していると考えられる。だから、職業が多様化しても企業は学歴や偏差値を重視するのでしょう。
オックスフォード大学のAI研究者らが「米国の総雇用の47%は20年以内に消滅」と予測する中で、企業は「正解のない問い」の答えを出せる「問題解決能力」や「創造性」を持つ人を求めているはず。学歴や偏差値でその能力の有無を予測できるでしょうか。
経済学には「学歴過剰」「スキル・ミスマッチ」という考え方があります。その職業に求められる以上の学歴や、求められているものと異なる技能、知識を持っていることは、労働意欲や生産性を下げることが明らかになっている。
こうした労働需給のミスマッチは、学生と企業の双方に不幸な結果をもたらしかねません。企業には、学歴や偏差値以外の能力もしっかり見てほしい。大学での成績や卒業論文について問う企業も出てきたようですが、これはスキル・ミスマッチを起こさないために有用でしょう。
最近では、勤勉性、協調性、リーダーシップなどの非認知能力が収入や昇格に影響することも明らかになっている。学歴や偏差値で測られる認知能力だけでなく、こうした非認知能力も判断材料とすることが必要だと思います。
中室牧子(なかむろ・まきこ)
1998年慶應義塾大学卒業。コロンビア大学で博士号取得。日本銀行や世界銀行を経て、2013年から現職。『「学力」の経済学』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がベストセラーに
(取材・文:アエラ編集部 石臥薫子、ライター 三宅玲子、写真:iStock.com/coward_lion)
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注目のコメント
どれだけ「学歴なんてシグナリング効果以上の意味はない」なんて思っていたところで、かわいい我が子には良い学校に行って欲しいと願うのが親心というものではないでしょうか。進学するだけの余裕のある家庭では、「大学なんか行かなくていい」とはなかなか言えないものかなと。
一方で漫然と就職するのではなく、我が子には自分の進路を切り拓いてほしいと親が願うのであれば、現実的な解としてはとりあえず大学に入学し、1年後くらいに休学して就業体験を積むなり、外遊するなりして、外の世界を見るという方法もあるのかなと。実際に働き出すと、大学で学ぶ知識が社会の中でどのように活きるのか、より有機的に繋がって勉学にも身が入りますし、否応なく自分の志向性を真剣に考え出すようになります。
私個人は中学卒業後に牧場で働き、ちょっとしたプチ社会人経験を積みましたが、その回り道は得がたい機会だったと今では思います。長い人生、1年2年のロスなんて全く関係ありません。とりあえず大学に入学しておきさえすれば、教育熱心な親御さんでも幾分かは安心できるのでは。記事に自分の娘の話が出ているので一言。教育論は人それぞれで正解などあり得ない。因みに実弟は、二人の息子を小学生から受験させ有名私学に入れている。私の考えと家内の考えが必ずしも一致した訳ではないが、よく話し合ったことだけは事実だ。キットカットで受験と長く付き合ってきたことも影響あるかもしれないが、悲しいのは受験や進路のことで自殺したり殺傷事件が起こること。親も学校も、如何に子供達に学歴の意味するところや教育の意味するところを教え考えさせるか。また、人生の中で学歴だけではないことを教えるかが重要だと思う。
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