【第7回】「史上最大の金融犯罪者」を追い詰めた、おとり調査の全貌
2015/11/02, NewsPicks編集部
【第7回】「史上最大の金融犯罪者」を追い詰めた、おとり調査の全貌
2015/11/2
イギリスで司法取引をするはずが
シティをクビになってからの数カ月、ヘイズは人生を立て直すことに全力を注いだ。解雇された数日後にはイギリスに戻り、ハンプシャー州のフォーシーズンズホテルでタイヒと豪華な結婚式を挙げた。
2011年には息子ジョシュアが生まれ、ロンドン郊外の美しい村にある元牧師館を購入した。記録によると、2人はその6ベッドルームの家を、現金120万ポンド(約2億2000万円)で購入した。
ヘイズはイギリスでMBA課程に入り、タイヒは弁護士の仕事を続けた。2人は丘の中腹にある自宅のリフォームを始め、新たなウイングを建てるとともに、侵入者を防ぐために高さ180センチほどの電子ゲートを立てることにした。
そんな中アメリカの当局は、じわじわと調査を進めていた。ヘイズはうわさを聞いていたが、自分が最大のターゲットの一人だとは思いもしなかった。そこでフェイスブックで、東京のUBSで隣の席だったミルハット・アリクーロフにメッセージを送ってみた。
すると数週間後のある日、アリクーロフはFBメッセージではなく電話をよこした。ヘイズは社交辞令もそこそこに聞いた。UBSは米司法省の問い合わせについて何か言っていたか──。
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コメント
注目のコメント
こんなに面白いのに毎日コメントが減っていく。
NPの読者にとっては
「ヘイズがLIBOR操作で捕まった。映画のような臨場感あふれるストーリーだった」
ということがわかれば充分なのかもしれない前に本連載でコメントしたが、やはり当局間のパワーゲームも背景にあった。各参加主体において、何が合理的だと時点時点で考えられるのか含めて想像していくと、とても面白い記事。
なお、八田さんのコメントにはとても同意する。シンプルに見えるが複雑な現実を、感情に流されずに粘り強く調べて考え続け、必要に応じて修正し続けることが、情報を正しく理解するためには必要だと思う。そうでないと表層だけの理解に留まる。自らは不正のコマの一つにすぎないという想いがあるのだろうか。
司法取引を取りやめ、すべてを白日の下にさらす…
恐らくその公判におびえる関係者は多く、金融業界で名をはせた人たちが巻き込まれていくのではないだろうか。