GE vs. 日立。「日米インフラ頂上決戦」の行方
2015/08/19, NewsPicks編集部
重電メーカーの世界No.1 vs. 日本No.1
GE vs. 日立。「日米インフラ頂上決戦」の行方
2015/8/19
日本で頂点に立つ企業と世界トップの実績を誇るグローバルカンパニー。両社にはどれほどの差があるのか。日本と世界の距離はどの程度、遠く、近いのか。主要な業種・業界における世界のNo.1と日本のNo.1を比較する本連載。アナリスト集団、Longineのアナリストがデータと自らの見識をもとに分析、日本企業が将来、世界トップに立つ確率も予測する。第8回は重電メーカー。世界を代表する企業、ゼネラル・エレクトリック(GE)と日本を代表するコングロマリット企業、日立製作所を比較する。
日立とGEを比較することに意味があるか
筆者は20年近く、証券アナリストとして日立製作所(日立)を見てきたが、駆け出しの頃の先輩が、「日立はGDP(国内総生産)銘柄でつまらない」と言っていたことが忘れられない。
当時(1990年代)、「GDP銘柄」と言われたゆえんは、原子力発電から白物家電まで幅広く事業を手がけ、博士号取得者が大量に在籍している日立は、技術力はあるものの、世界でダントツな事業がないため、日本のGDP成長率以上の伸びが期待できないとみられていたことにあった。
当時も日立をゼネラル・エレクトリック(GE)と比較する証券アナリストは多くいたが、日立の経営陣は「GEは金融の会社でうちとは違う」「アメリカの会社は儲かるところだけをやっているので利益率は高いが、顧客のニーズには十分応えられていない」といった程度の認識しか持ち合わせおらず、資本市場との議論はまったくかみ合わなかった。
だが、そうした日立も2009年の経営危機以降、大きく変貌を遂げた。現在の経営陣は、GE、シーメンスなどの世界の巨大なインフラ企業をベンチマークとし、社会インフラ事業をコア事業として成長を目指している。
現在でも、GEの時価総額は日立の9倍弱、純利益は6倍と、大人と子どもほどの差がある。だが、日立は、この1年間で、三菱重工と火力発電事業を統合、欧州の鉄道事業を買収、ジョンソンコントロールズと空調事業で提携合意、などグローバル成長に向けた施策を相次いで実行しており、金融危機以前の日立とは明らかに違う動きを見せている。
こうした動きを見るにつけGEに近づくことは永遠の夢物語ではないかもしれないと考え、今回、両社を比較してみることにする。
金融危機以降、株価と業績の推移は日立に軍配
収益では大きな差がある両社。だが、興味深いことに金融危機以降の株価推移は、明らかに日立に軍配が上がる。
newspicks.com
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コメント
注目のコメント
山手線など首都圏の鉄道運行制御システムはほとんど日立です。こうした自律分散制御技術をテコに海外でもインフラ分野での成長を期待したいです。東芝との差はかなり広げることはできましたが、GEの背中はまだまだ遠いいので。
金融危機からの業績グラフのところに「株価推移も日立に軍配」とある。主な重電銘柄の2007年終値から直近値までの株価推移(現地通貨ベース)。
三菱電機:+17.0%
日立:-8.8%
Siemens:-9.8%
GE:-29.7%
ABB:-40.1%
東芝:-56.3%日立がインフラ事業をのばそうとする場合、買収が不可欠。バランスシートが律速要因になるので、そう簡単にGEには追いつけないですね。