BMW vs. 富士重工。米国を制すものが、勝負を制す
2015/08/17, NewsPicks編集部
プレミアムカーの世界No.1 vs. 日本No.1
BMW vs. 富士重工。米国を制すものが、勝負を制す
2015/8/17
日本で頂点に立つ企業と世界トップの実績を誇るグローバルカンパニー。両社にはどれほどの差があるのか。日本と世界の距離はどの程度、遠く、近いのか。主要な業種・業界における世界のNo.1と日本のNo.1を比較する本連載。アナリスト集団、Longineのアナリストがデータと自らの見識をもとに分析、日本企業が将来、世界トップに立つ確率も予測する。第7回は自動車のプレミアムカー業界。BMWと富士重工業を比較する。
富士重工の“1弱時代“
富士重工とBMWを比較することに、「なぜ?」と疑問を感じる人も少なくないだろう。その疑問に答えるためにも、まずは過去を振り返ってみよう。
今でこそ富士重工は、日本の自動車業界のみならず、日本の産業界を代表する高収益企業となったが、1990年代末~2000年代後半の約10年間は、深刻な収益低迷に陥っていた。
確かに、円高という大きなマイナス要因はあったとはいえ、円高進行で苦しんだのは富士重工だけではない。ほかの自動車メーカーも、円高進行が収益を圧迫したにもかかわらず、リーマンショック発生前(2008年3月期)には軒並み過去最高益を更新している。
この当時、富士重工の業績は、最高益更新どころか、ピークの半分強の水準でしかなかった。リーマンショック発生前までの約10年間、日本の自動車メーカーでは、富士重工の“1弱”時代だったと言っても過言ではなかった。
BMWを仮想競合にして大失敗
富士重工の業績不振は、前述したように円高だけではなく、販売不振によるところが大きかった。今となっては考え難いが、当時は販売計画の未達が相次ぎ、国内工場の低稼働率を余儀なくされていたのだ。
しかし、商品に魅力が欠けていたわけではなく、当時の富士重工が中期計画で掲げていた“プレミアムブランド戦略”が、大きな足かせになっていたと考えられる。
そもそも「スバル」をプレミアムブランドに位置づけたことに、少なからず無理があるのだが、このプレミアムブランド戦略が先走ったことにより、販売面では値づけを高くせざるを得なくなった。また、適度なインセンティブ(販売奨励金)施策も打てないため、販売戦線では後退が続いた。
この時、富士重工のプレミアムブランド戦略のターゲット、ベンチマークになったのがBMWである。つまり、富士重工はBMWを仮想競合相手と位置づけて、大敗北を喫したのだ。
newspicks.com
プレミアム会員限定の記事です
今すぐ無料トライアルで続きを読もう。
オリジナル記事 7,500本以上が読み放題
オリジナル動画 350本以上が見放題
The Wall Street Journal 日本版が読み放題
JobPicks すべての職業経験談が読み放題
コメント
注目のコメント
自分は、この比較は、正しいと思う。自分が株式市場で元々見ていたという持丸さんと同じような見方をするという点以外に、スバルの、特に米国での好調さの背景を特集したテレビ番組などでインタビューとして、BMWからのスイッチをしている人もいた。これはあくまで断片的な情報であるが、プレミアム系のなかでスポーツ感を重視する層で「選択肢」となっているのは、一定の事実で、BMWとして意識せざるを得ない状況ではあると思う。
アウディも、日本でのA3発表会ではあるが、「競合はスバル『レガシィ』」と名指ししている(①)。米国での自動車ブランドランキングを見ても、車種別で唯一3車種入っているくらい高い(②)。
なお、米国で大きく売り上げが改善したのは、レガシーの3ナンバーをあきらめて(2009年~)、どうやって米国で売れるかを考えたのが大きいだろう。加えて、厳しいときにトヨタと資本提携して、米国で大量に売れるトヨタ・カムリで工場稼働率を維持した効果も見逃せない(カムリの委託生産は終了することが発表されている)。そして3ナンバーをあきらめて、2014年から発売した新車種では、一層米国市場を意識したスタイルになっている印象。
米国では、記事にあるように強い。欧州は、日系メーカーにとっては、どのメーカーも厳しい市場(マツダがディーゼルで頑張っているが…)。中国ではドイツメーカーのブランド力が全般強い。富士重工は、中国での合弁工場建設を目指していたが、2012年に諦めた(③)。そのうえで、今後米国を維持・成長しつつ、他地域をどうするか、規模が他メーカーと小さい中でどうやっていくのかが注目点。
①http://e-nenpi.com/article/detail/214967
②https://newspicks.com/news/845385
③http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20120406/230692/?rt=nocnt社長が基本的には「台数は追わない」という姿勢を明確にしています
とはいえ、北米に関しては好調なだけに、
今後の投資の見極めが重要となりそう
http://toyokeizai.net/articles/-/56542