J1Dis_bnr_150719_特別編

デロイトトーマツがKPIを設定

Jリーグのビジネス力を数値化。経営最強クラブはどこか

2015/7/19
J1の各社長にインタビューする連載「Jリーグ・ディスラプション」が7月20日(月)から本格スタートする。本連載ではインタビューに加えて、デロイトトーマツによる経営分析も掲載する。そのデロイトトーマツが新たに立ち上げるのが「Jリーグ・マネジメント・カップ」だ。各クラブの経営力を数値化し、ランキング化するという試みである。本連載でもカギとなる同カップをデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーの里﨑慎が解説する。

ビジネス・マネジメント面からのチーム評価

クラブチームのマネジメントには、いかにゲームで勝つかという「フィールド・マネジメント」だけではなく、いかにビジネスとして収益を上げ、また事業拡大をするかという「ビジネス・マネジメント」という側面があります。

デロイトトーマツは、この「Jリーグ・ディスラプション」において、各クラブのビジネス・マネジメントの分析を行っていきます。

メンバーファームのデロイトUKがクラブチームのビジネス・マネジメントの分析を始めたのは20年近く前になります。英プレミアリーグを中心として、売上高や人件費などの財務数値をもとに欧州各国のクラブチームのビジネス・マネジメントを評価し、そのランキングを「Football Money League」という冊子にまとめ毎年発表してきました。

そして、いよいよこの秋をめどに日本でも、Jリーグ各チームを対象にビジネス・マネジメント評価を行った冊子「Jリーグ・マネジメント・カップ」を発行する予定です。

この「Jリーグ・ディスラプション」では、「Jリーグ・マネジメント・カップ」に発表する内容の一部を、正式発表に先駆けて発信していきます。「Jリーグ・マネジメント・カップ」のランキングの一部を紹介するとともに、評価結果をもとに各クラブのマネジメント層の経営ビジョン・経営戦略について分析を行います。

Jリーグ・マネジメント・カップの概要

では、ここでJリーグ・マネジメント・カップでの評価方法を簡単にご紹介しましょう。

Jリーグ・マネジメント・カップにおいては、Jリーグから公表されている各クラブチームの財務情報を中心に、ビジネス・マネジメントにおいて最も重要なテーマである「マーケティング」「経営効率」「経営戦略」「財務状況」という4点からビジネス・マネジメントレベルを総合評価します。

なおこの4点を、実際のリーグになぞらえて「ステージ」と呼んでいます。また評価対象はJ1のみならず、J2、そしてJ3のチームすべてにしました。

評価方法ですが、ステージごとにデロイトトーマツが設定したKPIにもとづいてリーグ別にランク付けを行い、そのランキングに応じたビジネス・マネジメントポイントを付与していきます。

たとえば、あるKPIについてJ1の1位であった場合は18点の獲得となります。同様にJ2の1位は22ポイント、J3の1位は12ポイントとなります。そして順位が1下がるごとに1ポイントずつ減らしたポイントを付与するルールとしています。ランキングをリーグ別にしたのは、リーグによって試合数や勝点という環境が異なるためです。

このような評価方法にもとづき、最終的に4つのステージの累計ビジネス・マネジメントポイントが最も多かったクラブがCup Winnerとなります。

ステージ概要

では最後に、4つのステージの概要を説明しましょう。

まず「1stステージ:マーケティング」です。これは主に集客に着目し、いかに「満員のスタジアム」の実現に向けた取り組みが成果を挙げているか、という点を評価します。具体的には集客数、客単価、スタジアム集客率、新規観戦者割合というKPIによる評価です。

次に「2ndステージ:経営効率」です。これは主に勝点と経営成績に着目し、いかに効率的に「勝点」を獲得したか、というクラブパフォーマンスを評価します。具体的には、勝点1あたりチーム人件費、勝点1あたり入場料収入というKPIによる評価です。

そして「3rdステージ:経営戦略」です。これは主に経営成績に着目し、いかに効率的に「売上」を獲得したか、というクラブパフォーマンスを評価します。具体的には、売上高・チーム人件費率、入場料等収入・販管費率というKPIによる評価です。

最後に「4thステージ:財務状況」です。主に財政状態に着目し、「ビジネス規模や安定性、成長性」に関するクラブパフォーマンスを評価します。具体的には売上高、売上高成長率、自己資本比率というKPIによる評価です。

2013年度はどうだったか

説明ばかりではわかりにくいと思いますので、ここでは2013年度の総合順位と各ステージのポイントを発表します。

優勝はセレッソ大阪、最下位は大宮アルディージャでした。
 grp150719_J_ranking

さてこのランキングが2014年度ではどのように変化したのか。来週以降にお伝えしますので、楽しみにお待ち下さい。

(文責:デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社 スポーツビジネスグループ 里﨑慎)