中国、新たな半導体規制巡り日本に報復を警告-関係者
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米国が半導体チップや製造装置の対中輸出規制をすると、すぐに関連銘柄の株価が下がります。昔からずっと繰り返されていることです。その理由を理解するためには、半導体サプライチェーンにおける中国の重要性を知る必要があります。それは次の3つに集約されます。
①需要家(買い手)として半導体チップ・製造装置を世界トップクラスに買っている
②製造拠点(特に後工程。簡単に言うと半導体の最終組み立てとテスト)として競争力がある
③素材のサプライヤ(シリコン、レアメタルなど)として強大
詳細は割愛しますが、今後も中国が重要であり続けるのは③です。
素材は中国、シリコンウエハは日本、製造装置は日本とオランダ、設計とソフトウエアはアメリカ、製造は台湾(製造拠点としては日本、ドイツ、アメリカも入る)。これが現代の半導体サプライチェーンであり、今後も当分は変わらないでしょう。現状として、日本の半導体製造装置の最新四半期の中国向けの売上比率を見てみましょう。
●東京エレクトロン 49.9%
●SCREENホールディングス 46%
●荏原製作所(精密・電子) 54%(アジア全体)
●ディスコ 32%(※外資メーカ現地工場向け含む)
●KOKUSAI ELECTRIC 53%
<※各社IR資料より>
規制をしていてもかなりの売上比率。中国がかなりに割合で購入してくれるのはありがたいですが、現在、中国の半導体製造装置メーカーのここ数年、各社1.4倍程度成長してます。中国の今後の需要と中国装置メーカーの成長にともなう、競合が増えるなど、意外とリスクは多いと感じている。
今後の規制についても、日本にプレッシャかけても結局米国追随なのであまり意味をなさない。このWeb記事を読んで、企業の置かれたリスクマネージメント上の問題として私の感想をまとめます。
日本、オランダ、アメリカの企業が、中国に半導体製造に必要な装置や技術を提供しています。しかし、バイデン政権の一部議員が、これが米国の安全保障や半導体産業に悪影響を与えると懸念を表明しました。
オランダ政府は、中国での半導体装置の修理やメンテナンスを制限しようとしているようです。いったん売却した設備のメインテナンスの契約がある可能性がありますが、いずれにしても無理のある対応をすることになると思われます。
もし、装置のメンテナンス契約存在しその契約が守られなければ、中国が対抗措置を取る可能性があります。過去に、日本が中国の船長を逮捕した際、中国が日本へのレアアース輸出を止めたことがあり、同じようなことが起こるかもしれません。
半導体製造には特定の装置が必要で、それが中国に多く輸出されてきました。これが原因で、アメリカの民主党が焦っているのかもしれません。輸出前に正しい確認が行われていると考えますが、米商務省の産業安全保障局(BIS)はコメントを控えています。日本政府には担当大臣もいますよね。どのようにこの問題を受け止めるのでしょうか。ここが注目点です。
米国は、外国製品への制限措置を導入できる「外国直接産品ルール(FDPR)」を持っていますが、実際に使われていないそうです。アメリカが制限を強化すれば、中国が報復する可能性があります。
この問題は拡大すると思いますので、今後も半導体装置産業に関係する企業にとって重要なリスクマネージメント項目となるでしょう。