愛されるブランドになる商品作り

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21本の記事

暮らしを豊かにし、愛される商品とブランドの開発にお役に立つノウハウはご紹介したいと思います。

楠目靖

イケアイノベーションマネジャー

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楠目靖

イケアイノベーションマネジャー

タイムマシーンで行くならどっち？過去or未来？：未来のチラ見せ。

全体に公開・2024/05/01

「もしタイムマシーンで旅するなら、過去と未来のどちらに行きたいですか？」という質問に、多くの人が過去を選ぶようです。タイムマシーンの一般的なルールには、過去を変更することで現在に影響を及ぼすべきではないというものがあります。それを踏まえると、影響を与えることができない過去になぜ多くの人が行きたがるのでしょうか？対照的に、未来への旅であれば、もし未来が期待に沿わなければ、現在の行動を変えることで未来を形作る可能性がありますよね。科学とテクノロジーの未来ユヴァル・ノア・ハラリは『サピエンス全史』で、科学研究が資金を獲得できるのは、それが政治的、経済的、宗教的目標の達成に役立つと考えられるためであると述べています。彼は16世紀の王や銀行家が地理的探検に多額の投資を行い、新たな土地を征服し、貿易帝国の構築により膨大な利益を見込んだ一方で、児童心理学の研究には一銭も提供しなかった事例を指摘しています。

ブレインストーミングをイノベーションする：私たちのブレスト法を紹介します。

全体に公開・2024/04/15

ブレストから良いアイディアが生まれていますか？現在のブレインストーミング法は、効果的でないという指摘を最近目にします。例えば、シーナ・アイエンガーは、個々人が独自にアイデアを出す方が、グループでのブレインストーミングよりも良い成果を出すとする研究を引用し、グループでの創造性を疑問視しています。また、暦本純一教授は、ブレインストーミングの参加者は、ブレストの中で印象的なアイデアを無意識に選好し、また、量を求められるが故に、満足のいくアイディアが出せないまま多くのアイディアを出してしまうと指摘しています。多くの人にとってアイディア出しが創造性の象徴であり、ブレインストーミングがイノベーションの『メインイベント』、つまり最重要なフェーズであると認識しているので（私はそうは思いませんが）、ブレインストーミングとプロジェクトの成功を密接に結び付けます。そのために、無意識にリスクを避け、個々人の自由な発想よりもグループ内の方向性の一致を求める傾向にあり、これは、皮肉にもブレインストーミングを成功させたいと言う共通の思いが同調圧力となり、ブレインストーミングの目的である真の創造性を抑圧することになります。

ルッキズムはいけないこと？：直感に訴えかける商品

全体に公開・2024/04/01

「小川、お前の顔なら学がなくても最悪、嫁には行けるって」令和6年の『現在』では、笠間先生（#矢作兼さん）の発言は一発でレッドカードです。この後、笠間先生は性懲りも無く「もちろんブスだったら死ぬ気で勉強して国立目指せって言いますけどね」って言います。もう出場停止どころか永久追放です。読者の皆さんは、テレビを見ないですか？因みに『ふてほど』はネトフリでも見られます。クドカン最高です(@futeki_tbs)。誰もが永久追放どころかイエローカードだって怖いので、もうこんなセリフはクチにはしませんが、人間に与える『外見の影響』は笠間先生の時代と何も変わっていません。ルッキズムは人類の脳に刷り込まれた根深い志向なので、人は悲しいほど、見た目の魅力度に左右されます。

知っているけどなんか新しい！：古くて新しい魅力

全体に公開・2024/03/15

ある日、eillさんのカバー曲「Plastic Love」を耳にして、懐かしさと新鮮な気持ちになりました。一見矛盾する感情の組み合わせですが、なぜこんな感覚に襲われたのでしょうか？繰り返しで魅力的に Bruce W.A Whittlesea, Larry L Jacoby, Krista Girardの研究によれば、親近感とは過去の経験を思い起こさせる意識的な感情です。人は何度も繰り返し接触することで、同じものに対する魅力を感じやすくなります。これは脳内での「処理流暢性」と呼ばれる現象によるもので、親しみのある対象を簡単に処理できるようになることで、私たちはそれを心地よく、ポジティブに捉えるようになります。

関西人はイノベーションに向いている？：イノベーションは『知らんけど』で行こう!

全体に公開・2024/03/02

『知らんけど』。気がつくと、私も良く口にします。ネットによると、関西で昔から使われていたフレーズが2022年の流行語大賞でトップ10入りして、全国区になったそうです。自分の専門外の情報などを話す際に、内容を保証しないという意味合いで用いられると書かれています。村上安彦氏が著書『客観性の落とし穴』で客観的な事象こそが真理であるという現代人の多くが共有する発想だと述べていますが、『知らんけど』の流行はこの風潮の反動かも知れませんね。ビジネスでは『知らんけど』は不可？ネットには、仕事では、『知らんけど』の使用は避けるべきだと書かれています。確かに、ビジネスの意思決定を下す場面で、『知らんけど』は通用しませんね。

やってはいけない断捨離：イノベーションにはミニマリストではなく、マキシマリストが必要です。

全体に公開・2024/02/16

断捨離や整理整頓のブームにより、要らないものを捨て,ミニマリストになり、シンプルライフを実践する人々が増えているので、部屋に物が多く、乱雑で、片付け下手な人は肩身が狭いですね。片づけられない、ゴミ屋敷、汚部屋など、ひどい言われようです。しかし、散らかった部屋で暮らす人々にとって、嬉しい研究結果が発表されました。キャスリーン・ヴォース教授によると、散らかった環境で活動することがクリエイティブ性を高めるとのこと。実際、スティーブ・ジョブズ、ピカソ、アインシュタインなどのクリエイティブな偉人たちも散らかった部屋で活動していたようです。イノベーションは新しいアイディアの組み合わせスティーブ・ジョブズは、「イノベーションは異なる分野のアイディアやひらめきをつなげる力であり、関係のなさそうな要素を結びつける力」と述べています。同様に、ジーナ・アイエンガーは著書「Think Bigger」で、「イノベーションは古いアイディアの新しい組み合わせであり、複雑な問題を解決する力」と説明しています。経済学者のヨーゼフ・シュンペーターも、イノベーションは新しい結びつきだと指摘しています。

イノベーションの「大ピンチずかん」：新しい価値を生み出す変革は失敗を恐れず、失敗を認め、そこから学ぶこと。

全体に公開・2024/02/02

鈴木のりたけさんの「大ピンチずかん」は、大人でも笑える面白さがありますね。自分の子供時代を振り返ると、鈴木さんの天才的な発想に驚かされます。お子さんがいる方は、一緒に楽しんで笑い転げたでしょう。鈴木のりたけさんのフォーマット（©︎鈴木のりたけ）を使えば、大人編や社内編などの「大ピンチずかん」も浮かびますね。例えば、プレゼンが始まるのにプレゼン用のファイルが消えた、アポの10分前に場所や時間をまちがえた、などはどうでしょうか？ただし、大人編では失敗の深刻さ（©︎大ピンチレベル）が、失敗の金額や相手の地位や役職によっても変わるためシビアで笑えないかもですね。失敗は避けられないものであり、最善の対策は失敗を認め、そこから学ぶことです。しかし、失敗を認めることは容易ではありません。著者マシュー・サイドは、「失敗の科学」で、人々が自らの過ちを認めるよりも、都合のいい言い訳をして自分を正当化する傾向があると指摘しています。これが、個人や組織が同じ過ちを繰り返す原因となります。

諦めなければ叶うのか？：イノベーションを叶える勇気

全体に公開・2024/01/16

「諦めなければ夢はいつか叶う」という言葉はよく聞きますが、良いアドバイスだとは思えません。残念ながら、最後に愛が勝つとは限りませんし、夢だってずっと追い続けても叶わないこともあります。「夢を追い求める勇気があれば、すべての夢は叶う」はウォルト・ディズニーの言葉ですが、ウォルト・ディズニーの言った「追い求める勇気」とは何でしょうか？「夢」をイノベーションに置き換えるならば、必要な勇気は、失敗を恐れないこと、可能性があるものを試行錯誤して育てること、そして自分で自分の行動に責任を取る勇気ではないでしょうか？新しい価値に飛びつく数少ない人々成熟した市場の商品やサービスは共通のバリュープロポーションを持っており、これを「カテゴリーバリュープロポーション」と呼びます。同じ特徴を共有しているため、差別化は「信じ得る理由」にかかってきます。

時間をかけて新しい愛を育む：破壊的イノベーションの創造者

全体に公開・2024/01/03

持続的にブランドを愛してもらうためには、既存の製品やサービスの改善に加え、新規顧客に新たな価値を作り出す努力が欠かせません。これには既存製品の機能向上や顧客のニーズに応えが含まれますが、同時に新たな市場や顧客層に向けて新しい価値を発信することも重要です。新しい価値は初期段階ではスペックが低く、限られた層の顧客にしか受け入れられないかもしれませんが、これが将来的な成功の礎となることがあります。現在の愛を深める努力が持続的イノベーション、新たな愛を育む努力が破壊的イノベーションといったところでしょうか？新たな愛を育むには、ゆっくりと時間をかけて、愛する人のほんとうの姿を知り、愛する人にも、自分のほんとうの姿を知ってもらうことが大切です。破壊的イノベーションにも同じことが言えます。

優しく後押しする方法ナッジ：イケアの例

全体に公開・2023/12/15

以前、人々が望ましい行動をとるように、優しく後押しする方法のナッジをみなさんにご紹介いたしました。ナッジとは人々に選択の自由を残しつつ、行動を予測可能な形で誘導する方法です。前回はナッジの例として、アムステルダムのスキポール空港に設置されているハエのイラストが描かれた便器やグーグル社のカフェテリアの取り組みなどをご紹介いたしました。今回は、水とエネルギーの節約をナッジする、イケアのシャワーモニター、SVÅGANをご紹介いたします。現在スペインとデンマークの幾つかの店舗でイケアのシャワーモニター、SVÅGANをパイロット販売しています。個人や家庭で使用する水の量は、一人当たりが毎日約 142 リットル、平均的な家庭は毎日 349 リットル（アメリカのデータで４人家族の家庭は毎日1500リットルというのもあります）の水を使用するようです。１日の水の使用量のうち約20パーセントがシャワーを浴びることで使用されています。

未来を築く参加者：愛されるブランドのするべきこと

全体に公開・2023/12/01

お子さんのいる方は、子供たちの現在だけでなく、将来も考え、より長く、健康で幸せな人生の選択肢を提示して、導いて行きますよね。しかし、多くのブランドは顧客や社会の未来にあまり注目せず、現在の欲求を満たす事だけで愛されようとします。まるで孫を甘やかすことで孫に好かれようとするジジババですね。魅力的な幻想ブランドが顧客の将来を見据えて、より良い未来の選択肢を提供する努力を怠る理由は、多くの経営陣が既存のビジネスを改善し続ければ、そのビジネスの寿命をいつまでも伸ばす事ができるという魅力的な幻想と希望的観測にとらわれるからです。つまり、顧客の現在の欲求を満たすことで顧客の未来も良好になるという誤った観念です。実際には未来は絶えず変化し、それと伴い、顧客のニーズや問題点も変化していきます。

痒い所に手が届く：デンマークのカフェの主催する早朝ランニングや水泳イベント

全体に公開・2023/11/15

デンマークで、カフェの主催する早朝ランニングや水泳のイベントが流行っています。ランニングや水泳の後にカフェ自慢のサンドイッチと温かいコーヒーが振る舞われます。例えば、Meyers Bageri＊では毎月の最終金曜日の早朝ランニングが開催され、400 人以上の人が参加するようです。デンマークの人はコーヒー好きで（消費量世界トップ10）で、コペンハーゲンには素晴らしいカフェが軒を連ねています。私の見たところ、いわゆるスターバックス的なカフェに加えて多くのベーカリーのカフェもあるので、店舗数が多いのだと思います。最近デンマーク内でマラソンや水泳などのイベントを主催するカフェが増えています。上記のMeyers Bageriだけでなくデンマークのカフェチェーン店のオリジナルコーヒーもランニングイベントを主催しています。親会社が主催しているのではなくて、チェーン店の一つが独自に主催しているようです。

やるべき仕事：愛する人の痒い所に手が届く

全体に公開・2023/11/01

子供に「せなかかいテ〜」とせがまれる事ってありますよね。まあ甘えている事もあるかもしれませんが、本当に痒い場合、自分の手の届かない全ての痒い部分を、丁度いい具合の強よさで、心行くまで掻いてほしという事ですね。あなたの企業の製品やサービスは、愛する顧客の痒い所を満足できるように手を届かせていますか？これはアメリカのデーターですが、電気ドリル一台の製品寿命内の平均使用時間は約10分だそうです。ハーバード大学の大学院のセオドアレビット教授の言う通り、人は刃の直径が4分の1インチのドリルが欲しいのではなくて、4分の1インチの穴が欲しいのです。痒い所はドリルではなく必要な大きさと深さの穴なのです。

ナッジ：愛する人をそっと後押しする

全体に公開・2023/10/14

前回、習慣を形成する際の報酬の効果についてお話ししました。報酬が行動を促し、それによって習慣が形成される仕組みです。しかし、報酬を与えるだけでなく、人々が望ましい行動をとるように、優しく後押しする方法もあります。リチャード・セイラーとキャス・サンスティーンは、彼らの著書『ナッジ』で、ナッジは人々に選択の自由を残しつつ、行動を予測可能な形で誘導する方法と説明しています。このナッジのアイデアは、心理学の二重過程理論に基づいています。私たちは意識的な判断よりも直感的な思考に頼ることが多く、その結果、合理的でない決定を下すことがよくあります。例えば、スーパーマーケットで何種類ものトイレットペーパーが陳列されていると、最善の選択を検討する代わりに、直感的にいつものブランドを選んでいませんか？これは、私たちが直感的な思考を気持ちいいと感じるためですが、気持ちいい理由は物事を検討することが脳の負担だからです。私たちの脳はとても怠け者なのです。

本当に愛されている証：手放せない存在となる方法

全体に公開・2023/09/30

あなたのブランドの商品やサービスは愛されていますか？恋人やパートナーに愛を確かめるように、直接消費者に「私のことを愛している？」と聞いてみることはできますが、その答えを鵜呑みにすることはできません。人は時に嘘をつきますし、しつこく聞くと煙たがられますしね。では、あなたのブランドや商品が消費者にとって手放せない存在と感じられるようになったらどうでしょうか？もちろん、「愛しているよ」と言われることは嬉しいですが、もっと重要なのは、あなたの商品やサービスが消費者の日常生活を豊かにし、手放せない存在になることです。商品やサービスが消費者の生活を豊かにし、手放せないものであれば、それこそが本当に愛されている証になると言えるでしょう。

ミラーニューロン：私たちの脳の不思議な共感力

全体に公開・2023/09/15

私はスバルのアイサイトのテレビコマーシャルが好きです。現在は藤井隆さんのバージョンすが、私の記憶が正しければ2015年ごろの広告は一般の被験者に壁に向かって進むようにお願いするものでした。指示を聞いた被験者の困惑した表情や言動、車を壁に向かって走らせている時の不安な表情、そして衝突を回避した時の安心した顔など視聴者が被験者の経験を共感できるものでした。私たちは他人の行動を見て、その感情や経験を共有できる、まるで自分が実際に経験しているかのような共感を感じることがあります。この神秘的な現象の背後には「ミラーニューロン」と呼ばれる脳の神経細胞が関与しています。視聴者は実際にアイサイトのテストに参加せずともテレビコマーシャルをみているだけで、被験者と同じ経験、つまり脳内で全く同じカ所を活性化させていたわけです。

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