mRNA万能論に水差す、モデルナ新ワクチンは他より明確には優れず
AI要約(β版試験運用中)
- 1新型コロナウイルスのワクチンに続く第2弾となるRSVワクチンは、モデルナがmRNAのテクノロジーの幅広い有用性を証明する初の機会となる
- 2モデルナはmRNAに全集中し、RSVワクチンの競合他社との効果比較は行われていない
- 3モデルナは将来的には患者に特化したがんワクチンの開発を目指しており、このことが実現すれば年間売上高は100億ドルを超える可能性がある
コメント
注目のコメント
少なくとも現状でわかっている高齢者を対象にしたのモデルナのRSウイルスワクチンの臨床試験での有効率は、GSKのワクチンと同等、ファイザー製よりは高いというものです。
ただ、ワクチンの性能は有効率と抗体価の持続期間、つまり有効性がどのくらいの期間続くかがカギなので、もし記事で指摘するように効果の消失が早ければ、競合優位性を確保しにくくなります。
そしてmRNAワクチンの場合、どうしてもmRNA投与に伴う体内での炎症反応が避けられないため、発熱など患者が自覚しやすい副反応の頻度が高くなります。新型コロナワクチンでこの副反応を経験した人は、有効率がほぼ同等ならば他のモダリティのワクチンを選択すると思われます。
いずれにせよモデルナが新型コロナワクチンで経験した独壇場に近い優位性を獲得するのは難しいでしょう。
記事の後半でがんの治療用ワクチンの件について触れられていますが、実際には標的とするタンパク質(抗原)の同定の難しさなどを考慮すると、実用化までは10年ぐらいは必要でしょう。極めて複雑な生体反応の中、うまくいくやつもいかないやつもある、まあそうだろうと思います。
私が「面白いなあ」と思うのは、このmRNA製剤、(いくらかテクニックは要するものの)背景にある理屈は「とても単純、シンプル」だということ。比較的多くのアイデアを効率的に試せる、ってのがあるのではと思いますし、それが故、「私達の知識を増やす」ことにも大きく貢献してくれるのではないでしょうか?。
お金のことはともかく、間違いなくこの分野における「なくてはならない、汎用される」技術になっていくと考えています。
追記
DNA→mRNA(核の外の細胞組織へ)→リボソームでタンパク質に翻訳(機能発現)なんてことが私達の体の中で普通に起こっているところ、「欲しいタンパク質をコードしたmRNAを細胞内にまぎれこませとけば、ごまかされて一緒につくるやん?」って考えは、とてもいかしてるアイデアだと思うのですけど。そんなさえたやり方、ほかにはそうそうないのでは?。mRNAに依存しているという言い方はどうなんですかね。新型コロナワクチンで成果を出し今後もがんワクチン等が期待できる技術に一点集中することが悪手だとは思えません。期待を持ってもう少し長い目で見ても良い気がします。