2024/4/26

【深層】「コンサル嫌い」の伊藤忠、ボスコンと異例タッグの理由

日本だけで社員2万人を抱えるコンサルティング大手・アクセンチュア
経営戦略の立案から、システム開発、アウトソーシング、そしてマーケティングと、ビジネスの“上流”から“下流”まで、あらゆる日本企業に黒子として入り込む。
世の中はDX(デジタル・トランスフォーメーション)一色。テクノロジーでビジネスが激変する中、右往左往する企業の手となり足となるのだ。
そんなアクセンチュアの座を狙おうと、コンサル業界内外のプレイヤーが商機を見いだす。
総合商社の伊藤忠商事もその一つだ。
2023年9月、システム開発子会社の伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)への株式公開買い付け(TOB)に約3900億円を投じ、完全子会社化。
下流のIT機能をガッチリと握ると、上流の戦略コンサルにも手を広げた。
2024年3月末、伊藤忠は戦略コンサル大手、ボストン コンサルティング グループ(BCG)とDXコンサルの合弁会社を設立すると発表。
商社とコンサルという、異例のタッグは業界内外を驚かせた。
両社はなぜ手を組んだのか。NewsPicksは事業責任者たちに、その真意を直撃した。
INDEX
  • どうしても欲しかった「ピース」
  • BCGにとっても異例だった
  • 誘ったのは、伊藤忠だった
  • 商社は「コンサル嫌い」
  • コンサルに逆風が吹いている?

どうしても欲しかった「ピース」

──合弁を設立した経緯から聞かせてください。
関川 これまでCTCを中心に伊藤忠グループがやってきたのは、社内のITシステムの開発や運用、業務のオペレーション改革などでした。
お客さん側で課題が明確だったので、その解決手段としてITやBPOを提供することをビジネスにしてきました。
ところが「DX」という言葉が象徴するように、ITやデジタルを活用した事業変革や新規事業創出が盛り上がっています。
DXを進めるにも競争環境が複雑になるばかり。
課題の整理や可視化、解決策のプランニングなど、コンサルティングやデータ分析までできなければ、顧客の要望に応えられなくなったんです。