(ブルームバーグ): ソニーグループと米投資会社アポロ・グローバル・マネジメントは、米映画・テレビ大手パラマウント・グローバルの買収に向け共同提案する方向で協議している。事情に詳しい関係者1人が明らかにした。

ソニーとアポロは正式提案を行っていないと、協議は非公開だとして関係者が匿名を条件に話した。ソニー・ピクチャーズエンタテインメントのアンソニー・ヴィンシクエラ会長兼最高経営責任者(CEO)はここ1週間に、アポロと買収提案で協力することについて協議した。

CBSやMTVなどのテレビネットワークを傘下に置くパラマウントは、デービッド・エリソン氏率いる映画・テレビ製作会社スカイダンス・メディアと独占交渉中。

ソニーとアポロの交渉は米紙ニューヨーク・タイムズが18日に先に報じた。同紙によると、ソニーとアポロは、パラマウントの株式に対して現金での買収案を提示し、合弁事業を通じて同社を非公開化する計画だという。

パラマウントの株価は18日の米株式市場時間外取引で一時14%上昇。ソニーはコメントを控えた。ソニーの株価は19日午前の東京市場で一時3.5%下落した。

大手映画製作会社でもあるパラマウントは、「ミッション:インポッシブル」や「ゴッドファーザー」といったヒット作品を持つことから、ハリウッドの有名スタジオの一角を巡る買収合戦につながる可能性もある。アポロは以前にパラマウントに買収提案を行ったことがある。

ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のアナリスト、ジータ・ランガナサン氏はリポートで、共同買収提案の場合は「ソニーの資金力からみて、パラマウントの経営陣がアポロの260億ドルの買収案に抱いていたであろう資金調達の懸念を和らげる可能性が高い」と指摘。パラマウントの無議決権株主からあまり歓迎されていないスカイダンスの提案に代わるものになり得ると述べた。

ソニーは1989年にコロンビア・ピクチャーズを買収した。映画「スパイダーマン」や「ゴーストバスターズ」などの人気シリーズを手掛けるが、総合エンターテインメント・ストリーミングサービスを持たない唯一のハリウッド大手映画スタジオだ。パラマウントの買収が実現すれば、ストリーミングに視聴者を奪われている伝統的なテレビチャンネル事業へのエクスポージャーを大幅に増やすことになる。

パラマウントは、シャリー・レッドストーン氏が一族の持ち株会社ナショナル・アミューズメンツを通じて支配。ナショナル・アミューズメンツは77%の議決権を保有している。

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原題:Apollo, Sony Weigh Bid for Paramount in Challenge to Ellison(抜粋)

 

 

(ソニーの株価を追加して更新します)

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