正しく体を揺らすと健康になる

「からだほわっと」編 第4回

便秘に効果がある「膝を持って体を揺らす」操法

2015/5/28
西本直は施術を行うとき、ほぼ必ず行う操体がある。仰向けに寝た人の両足にそっと手を起き、全身を優しく揺らす「からだほわっと」だ。血流が促進され、さらに骨が本来あるべき位置に収まり、表現しようのない心地良さを得られる。今回はその一連の施術の中で行う「膝を持って体を揺らす」操法を紹介する。

胃腸の働きを整える効果

「からだほわっと」は足首から下を持って相手の体全体を揺らせてあげるやり方ですが、私が施術を仕事としている方たちに指導しても、相当練習をしていただかないと合格点を与えられない技術でもあります。

一般の方がパートナーを見つけてお互いに行っていただくには、少しハードルが高いかもしれません。

今回はからだほわっとのひとつのバージョンと言いますか、私が操体の施術の途中に行っている「膝頭を持って体を揺する」というやり方を紹介します。

25年も前になりましたが、私がこの仕事を始めたばかりの頃、腰痛や肩こりの症状を訴えてこられた40歳くらいの女性が、まさにこれを行っている最中に私の動きを遮り、トイレに行かれてしまいました。

戻ってきたその女性は、「実はひどい便秘で1週間以上便通がなかったのが、突然便意を感じ慌ててトイレに駆け込みました」と言ってスッキリした顔で話をしてくれました。

まだ経験不足だった私は、そんなことがあるのかと不思議に思いましたが、その方の紹介で同じように便秘に悩む女性が何人も訪れてくれ、その度に同じ光景が繰り返されたことをよく覚えています。

私自身は便秘という状態とは真反対で、胃腸が弱く下痢症だったのですが、操体法に出合い施術を受け、自分でも取り組んでいる間にそれが改善されてきたことは身をもって体験していました。ですので、どちらの状態にも良い効果がある、胃腸の働きを整えてくれるということに、改めて操体の効果を実感しました。

実際のやり方

実際のやり方はこうです。イラストを見ていただいて、まずは仰向けに寝た状態から両膝を立て、その膝を左右に開いて足の裏を合わせます。
 20150528_簡易ほわっと_姿勢

人によって開き具合が違いますし、左右差もあるかと思いますが、気にする必要はありません。

やってあげる人は、合わされた両足首を自分の膝で挟むようにして、相手の足を安定させます。

このかたちができたら、相手の膝頭にそっと手を置いてください。上からというよりも手のひらが向き合うように両サイドからお皿の重さを受け止める感覚で、と言ったほうがわかりやすいかもしれません。
 20150528_簡易ほわっと_施述b

そして両手で車輪を回すようなイメージで、前後にくるくると回すように揺らしてあげてください。

上から抑えるイメージになると、足の付け根が無理やり押し広げられて痛みを与えることになりますので注意が必要です。

どうでしょう、受けている人の背骨が、まるで蛇のおもちゃ(昔、観光地の土産物屋さんで見かけた竹でできた物ですが知っている方のほうが少ないかも)のように横にゆらゆら揺れて、お腹の中身もゆったりと揺れて気持ちが良さそうに見えませんか。

少し続けていると、あまり開いていなかった両膝の間隔が自然と開いていくことに気付くはずです。

くるぶしや足指を持つやり方より、揺らしやすいので、お互いにわかりやすいと思います。

難しく考えずに、思いやりの気持ちをもって優しく回すように揺らしてあげてください。

体はきっと喜んでくれると思います。

※本連載は毎週月曜日と木曜日に掲載予定です。