(ブルームバーグ): 16日の東京外国為替市場の円相場は対ドルで一時154円61銭と、連日で約34年ぶり安値を更新。米国で強い経済指標を受けて金利が上昇してドル高が進んだ流れが続く中、欧州勢参入とともに米長期金利が上昇すると、前日に付けた1990年6月以来の安値154円45銭を更新した。市場では心理的節目の155円が近づき介入警戒感が高まっている。

スタンダードチャータード銀行の江沢福紘フィナンシャルマーケッツ本部長は、全般的にドル買いの流れが続きドル・円もしっかりとなったと指摘。ただ、約34年ぶりの円安水準ということで「いつ円買い介入があってもおかしくなく、相場が動きづらくなった」と語った。

円相場は155円の心理的な節目に接近し、通貨当局の対応に注目が集まっている。テクニカル的には、90年6月25日に付けた155円87銭を超えると160円までサポートが見当たらない。通貨当局の介入という脅威が迫る中でもトレーダーらの円安予想に拍車がかかっている。

1ドル=160円に備える為替トレーダー、介入リスクお構いなし (1)

鈴木俊一財務相はこの日の閣議後会見で、為替の動向について「必要に応じて万全の態勢、対応をしっかりやっていきたい」と述べたが、相場への影響は限定的だった。

為替「しっかり注視」と財務相、G20前に介入動きにくいとの見方も (2)

三井住友信託銀行米州部マーケットビジネスユニットの山本威調査役(ニューヨーク在勤)は、円安進行によって輸入物価が上昇することで「日本の消費落ち込みへの懸念が高まり、何もしないと世論の見方が変わってくるリスクがある」と指摘。155円を抜けた場合、介入のリスクが高まると述べた。

スタンダードチャータード銀の江沢氏は介入について、円売りポジションが積み上がっていることもあり、いつでもあり得るとみている。「ドル高の流れの中では介入はしづらいが、円要因での売りが加速した場合には注意が必要だ」と話した。

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