国際会計基準審、営業利益の定義を標準化 27年から義務付け
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- 1IASBは損益計算書の営業利益の定義を標準化し、2027年から企業に公表を義務付ける
- 2IASBの新たな基準では、営業利益の小計を定義し報告を義務付ける。小計には減価償却、のれん償却・減損、財務・所得税前利益が含まれる
- 3EBIDTAの報告を継続することは可能だが、記載できるのは脚注のみ。新たに義務化された2つの小計と整合性が取れることが条件になる
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2024年4月9日、国際会計基準審議会(IASB)はIFRS第18号「財務諸表の表示と開示(Presentation and Disclosure in Financial Statements)」を公表しました。IFRS第18号は、IAS第1号「財務諸表の表示(Presentation of Financial Statements )」に代替します。
記事にあるとおり、現在の損益計算書は営業利益の定義が明確でないことから同業他社であっても業績の表示方法に差異があり、正確に企業間比較をすることができないという批判があり、これに対応するための改正となります。
新ルールでは、損益計算書の表示に関して以下の変更がありました。
①営業利益(Operating Profit)および財務活動および法人税引前利益(Profit before Financing and Income Taxes)という2つの新しい小計の開示義務
②損益項目について、営業損益、投資損益、財務損益、法人税等および非継続事業に関する損益という新しい区分に分類すること(operating, investing, financing, income taxes and discontinued operations)
EUのIRASとUSのGAPPとの覇権争い、これに関してはUSの表示に近づいたと思いました。
https://www.ifrs.org/supporting-implementation/supporting-materials-by-ifrs-standards/ifrs-18/
注目のコメント
たしか2010年くらいから議論されていたIFRS18号「財務諸表の表示」。これが遂に実現するのか。
「営業利益の定義を標準化」とありますが、元々は損益を営業区分/投資区分/財務区分の3つに分類し、CF計算書の営業CF/投資CF/財務CFと横並びさせ、発生主義と現金主義の関係性、比較可能性を高めるための改訂だったと記憶しています。
営業利益の定義は、その過程で明確化されたという事でしょう。
又、今回の改訂では経営者業績指標(MPM:Management Performance Measure)の開示を要求されるようです。
会計領域を離れて久しいのでよく知らないのですが、要は特損・特益に該当するような"一時の損益"を別出しする調整表を開示して、通常ならこうですよ、私(経営者)は異常損益を除いた数字で経営してますよという意思を見せるもののよう。
既に、企業の自由演技資料である決算説明資料でそのように開示している企業は沢山ありますね(業績の言い訳のためにだけど)。
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最後に、記事中のEBITDAについて。
あたかも利益を誤魔化してるかのような記述があります。確かに投資コスト(償却費)を除いた利益です。
しかし、(バフェットに抗うつもりは毛頭ありませんがw)決して利益の多寡を誤魔化してるものではないです。
投資という行為は、それによって費用を減らすか、売上を伸ばすか、又はその両方を生み出すためのもの。それらの目的に向けて継続的に行われます。継続的に行われなければならないといった方が正しいかもしれません。
EBITDAは投資によって生じた償却費を費用から除く事で、投資した結果としての事業の純粋な伸長度合いを測ることができる。だから利用される指標です。(償却費は既にキャッシュアウトした費用ですので、教科書にはEBITDAは擬似的なCFを測るためと書かれていたりしますが、これは半分当たってて半分そうじゃないという感じです)CF計算書は営業活動、投資活動、財務活動に分けて表示されていますが、新しいPLではそれと同じような区分表示になるんでしたよね、確か。
さて、これで日本の会計基準はどうするんですかね。
IFRSに寄せるのか、それとも寄せないのか。