2024/4/9

【馬渕磨理子】がんになって見えた「人生と仕事」の大切なこと

日本金融経済研究所・代表理事 経済アナリスト
「実は、乳がんが判明しまして、この後、しばらく入院と治療に専念したいと思います」

経済アナリストの馬渕磨理子さん(39)は1月18日に、がんであることを公表した。その日から3カ月弱。馬渕さんはすでに、手術と治療を終えて仕事に復帰している。

幸い、乳がんは早期で、手術も無事に成功した。まだ100%ではないものの、仕事もこなしているという。

がんの情報はあまたあふれているが、医師目線、製薬メーカー目線、患者目線で、この病気に対する景色は大きく変わる。がんになる臓器やステージ、治療の内容によっても、印象は全く異なるものになるだろう。

NewsPicks編集部は今回、がん治療を経て復帰した馬渕さんにインタビューを敢行し、がん発覚から治療、そして復帰に至るまでの体験を事細かく語っていただく機会を得た。

がんの早期発見の重要性、そして、どのような思いを持ち、仕事への復帰を考えているのか。

一人の患者である馬渕さんの体験記は、男性読者にとっても無関係ではない。この経験を知ることが今後の人生にも有益なものになるだろう。
INDEX
  • 1️⃣「がん発覚」の衝撃
  • 2️⃣ 恐怖の「待ち期間」
  • 3️⃣ 手術、そして復帰
  • 4️⃣ 仕事への向き合い方が変わった
  • 5️⃣ 今だから思える大切なこと

1️⃣「がん発覚」の衝撃

 ☑️ 忙しくても駆け込んだ
私の乳がんが発覚したきっかけは、私がレギュラーで出演させていただいてるテレビ番組「ウェークアップ」でした。
男性乳がんの特集をするという回でコメントする役回りでした。私は、自分が感じた本当のことをコメントするということを心がけているので、収録前に滑り込むように乳がん検診を受けに行きました。
収録3日前の11月9日に、かけ込み寺のように乳がんの検診クリニックに行きました。その収録が終わった11月16日に、「乳がん疑い」という結果を受け取りました。
そこで急に自分の中の気持ちも変わって、11月中は、病院探しをしたり、今後のスケジュールをどうしようとあたふたしていました。
11月末には、乳がん検診クリニックから紹介状をもらって、今度は専門のクリニックに行きました。
そこで、実際に胸に針を入れて、細胞を取る細胞診(細胞診断)もしました。
この検査後に、悪性の腫瘍、つまりがんだという確定診断が出ました。そして、私の乳がんが「手術ができる」状態ということも確定し、手術する流れになりました。
12月中頃には、手術する別の病院が決まり、MRI検査やCT検査などの精密検査をする流れになり、手術を1月末にすることが決まりました。
こうした検査の一方で、遺伝の疑いがあるので遺伝子検査をしたり、子宮も連動してがんになる場合もあるので、子宮も調べていただきました。
仮に子宮がんだった場合は、予防的処置として子宮の摘出の可能性もありました。ちなみに、その場合も保険適用になるということでした。
ただ、幸い、遺伝の疑いもなく、子宮がんもありませんでした。
(Photo: iStock / Getty Images Plus)
 ☑️ 故・山崎元さんへの感謝
1月に食道がんで亡くなった経済評論家の山崎元さんには、私のがん治療でもすごく影響を与えてくださいました。
2023年2〜4月に、当時闘病していた山崎元さんとの仕事をして、がんという病気が自分にとってもすごく身近なものになっていました。
11月に検診クリニックに行く前は、自覚症状はありませんでした。女性は、生理の時に乳房に小さいしこりのようなものが出る人も多いと思うのですが、私自身もそれが単なる腫れなのか、がんなのか、分かりませんでした。
私もその程度だったので、今回気づかなければ、5年くらい放置していたかもしれません。
山崎元さんのおかげで、がんという病気が身近になっていたこともあり、スタジオコメントをきっかけに行動に移せました。
忙しい中でばたばたで検診に行きましたが、すぐに行動に出たのが早期発見につながりました。
早期発見の大事さを改めて感じますので、それを広めていきたいと思っています。