(ブルームバーグ): 楽天グループがドル建て社債の発行を検討している。事情に詳しい複数の関係者によると、5年債12億5000万ドル(約1895億円)相当を発行し、巨額の社債償還に向けた資金確保を進める。

楽天Gの広報担当者はブルームバーグの取材に、ドル債発行を検討しており、決まり次第開示するとコメントした。金額などの条件はマーケットの需要に応じて決定されると述べた。関係者によると、発行条件は今週中にも決まる見通しだ。

今年1月に起債した18億ドルの3年債に続くドル債となる。当時は日本で上場する事業会社のドル債として過去最高の利回り12.125%で発行していた。関係者によれば、投資家向けのオンライン会議がニューヨーク時間1日午前11時(日本時間2日午前0時)に開かれ、10%台半ばの利回りが話し合われたという。

非公開情報を理由に関係者1人が匿名を条件に語ったところでは、新たに調達する資金は、年内およびその後に償還期限を迎える社債の買い戻しに充てる。

りそなアセットマネジメントの藤原貴志債券運用部長兼チーフファンドマネジャーは、2025年にかけて7000億円規模の社債償還を控え、楽天Gは資金調達に「本腰を入れ始めている」とし、ドル債発行を「前向きな印象だ」と評価した。

S&Pグローバル・レーティングは2日、今回債の格付けを楽天Gの長期発行体格付けと同じ「BB」にしたと発表。25年2月と6月に期日が到来する総額4000億円の国内社債の償還へ備えが進むことで、流動性は「一定程度改善する」と分析した。

起債の主幹事を務めるゴールドマン・サックス・グループの担当者にもコメントを求めたが、これまでのところ返答はない。

ブルームバーグのデータによると、前回1月債の価格は足元で106セント付近で推移し、投資家の需要が強いことを示す。一方、信用リスクを表すクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は2月に22年以来の低水準まで下落した後、上昇に転じ、資金繰りに対する懸念が高止まりしていることを示唆している。2日の株式市場で楽天G株は一時4.4%下落した。

楽天Gは事業効率化にも取り組んでおり、1日には楽天銀行や楽天カードを含むフィンテック事業全体を1つのグループに集約する組織再編を想定し、協議を開始することで合意したと発表した。

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--取材協力:Olivia Raimonde.

(投資家コメントなどを追加して全体的に再構成しました)

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