2024/4/1

【為末×高尾】良い通訳者が心得ている、英語以前に大事なもの

Deportare Partners CEO
昨日より今日、今日よりも明日…。仕事でも料理や洗濯などの日常生活であっても、少しずつ上達すると楽しいものだ。
最初は何げなく始めたことも次第に基本のスタイルが確立され、どんどん「らしさ」が出てくる。大なり小なり、誰もが一度はそんな経験をしたことがあるだろう。
本連載では、こうした「熟達」をテーマに各界の第一人者にその方法論を聞いていく。聞き手を務めるのは、元陸上選手の為末大氏だ。
スプリント種目の世界大会で日本人で初めてメダルを獲得した為末氏は、短距離走の熟達のプロフェッショナルでありながら、他の業界との共通点を探し続けてきた。
そのメソッドを1冊にまとめた『熟達論』をベースに、あらゆる角度から質問を投げかける。
今回のゲストは、外務省員で安倍元総理の通訳を約8年務めてこられた高尾直氏だ。
いくつものトップ会談の通訳経験を経て、見えてきた「通訳の熟達までの道程」とはいかなるものかを聞いた。
第2回/全3回
高尾直(たかお・すなお)
外務省員・安倍元首相通訳者。 東京大学法学部卒業後外務省へ入省。入省後、ハーバード大学大学院ケネディ・スクールで修士号を取得。安倍元首相とドナルド・トランプ元アメリカ大統領のトップ会談の通訳として知られている。
為末大(ためすえ・だい)
1978年広島県生まれ。スプリント種目の世界大会で日本人として初のメダル獲得者。男子400メートルハードルの日本記録保持者(2023年11月現在)。現在は執筆活動、身体に関わるプロジェクトを行うほか、アスリートとしての学びをまとめた近著『熟達論:人はいつまでも学び、成長できる』を通じて、人間の熟達について探求する。その他、主な著作は『Winning Alone』『諦める力』など。
INDEX
  • 瞬発力を織りなす、教養と感性
  • 通訳官の前に、組織人であれ
  • それでも最後に「運」がある
  • 万事に通ずる、熟達の要諦

瞬発力を織りなす、教養と感性