(ブルームバーグ): 米コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーは先週、北米勤務の一部コンサルタントに対し、昇進するための時間がなくなりつつあると通知した。世界的にコンサル業界が苦戦する中、同社は従業員に対し、業界の不文律とされる「アップ・オア・アウト(昇進するか、さもなくば退職せよ)」の圧力を強めている。

アップ・オア・アウトとは、世界のコンサルティング会社の多くが採用している方針で、従業員は特定の期間内に昇進することが期待され、できなければ退職を促される。

事情に詳しい複数の関係者によれば、この文書は北米のエンゲージメントマネジャーとアソシエートパートナーの一部に送られた。それらの役職に就いている従業員が昇進するまでの期間は平均で2年半だということを改めて伝える内容だったという。ここ数年マッキンゼーでは積極採用と低い離職率が続いてきたが、今回の社内文書は、同社が人員配置の見直しに動いている可能性を示唆する新たな兆候だ。

マッキンゼー、従業員3000人に「懸念」の人事評価-改善求める

マッキンゼーは発表文で、「当社は常にパフォーマンスに関してハードルを高く設定している」とし、「われわれはそうした目標を確実に達成し続けるため、成長とパフォーマンスに対するアプローチを定期的に見直している」と説明した。

同社のシニアパートナーらは2月、グローバル・マネジング・パートナーのボブ・スターンフェルズ氏を再任。任期は3年となる。コンサルティング業界全体が顧客企業の活動鈍化や経済面の逆風などに直面する中、マッキンゼーは昨年の収入が過去最高の160億ドル(約2兆4200億円)だったと発表している。

スターンフェルズ氏は2月の文書で、従業員の士気向上を狙いスペイン語で「estamos juntos(われわれは一緒だ)」と記したという。関係者らは、詳細は非公開だとして匿名を条件に語った。

昇進のスケジュールは従業員によって異なり、休職期間のある従業員がマイナスの影響を被ることはないと、関係者の1人は述べた。また、通知を受け取った従業員が数カ月後に予定される人事評価に先立って退職することを選択した場合、会社側が支払いを行うという申し出を受けているケースもあるという。

原題:McKinsey Piles ‘Up or Out’ Pressure on Some US Consultants(抜粋)

--取材協力:Amy Bainbridge.

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