電力会社の送電容量を40%増強するノルウェー企業の「マジックボール」
コメント
注目のコメント
スズキ マンジさんがすでに指摘されている通り、安全のためのマージンをそれだけ取っていたという話でもあります。世の中にあるシステムがどれくらい公称値から余裕をとっているか考えてみると面白いのでは。例えば、私自身は飛行機のフェールセーフ機能や翼の設計、エレベーターの公称値などはとてもおもしろいと思ったことがあります。
関係しそうな記事を見つけたのでこちらに貼っておきます。私が習ったときの数値とほとんど同じでした。
第12回「安全係数」について
https://www.kaji-tr.com/news/news12.htmカルフォルニアでは、送電線が樹木に接触して山火事が発生し、大手民営電力事業PG&Eが伐採するなどの対策を取らなかったして住民から訴訟を起こされ、破綻しています。
6年間で1500件もの山火事が発生し、住宅地域への延焼で多数の住民が死亡しています。これには地球温暖化と森林伐採による空気の乾燥も影響しています。つまり電力需要の増加と高温で送電線が垂れ下がり、乾燥した樹木に接触して山火事になったということなのです。
Heimdall Powerの“magic ball"トイセンサーは、送電線の温度、電流、角度の送電線データと、Meteomaticsのドローンで収集された気象データとを機械学習させて、送送電容量を増強できるようにしているものです。
これはDLRと呼ばれるもので、アメリカではLineVisionが送電網用のセンサーでサービスを展開しています。丸紅も同社に出資し、日本代理店となっています。
また住友電工が北海道電力ネットワークと 架空線ダイナミックレーティングシステム導入に向けた実証試験開始しています。
送電線を静的な定格容量と実際にどのくらいの容量があるのかという運用容量は違っていて、「送電線に流せるのは設備容量の50%まで」というのは静的な容量です。
DLRは外部環境の変化に合わせて実際に流すことのできる電力容量を増加させる技術です。
再エネの普及を一層進めるためにも送電網の増強を伴わないDLRは、望ましいと考えられます。
>動的線路定格 (DLR:Dynamic Line Rating) という柔軟で「賢い」考え方
2019年4月18日 安田 陽 京都大学大学院経済学研究科特任教授
http://www.econ.kyoto-u.ac.jp/renewable_energy/occasionalpapers/occasionalpapersno123
抜粋)「送電線に流せる電力は設備容量の50%までに決まっている!」というネットでよく見かける議論は極端な例ですが、従来の簡易パラメータのみの静的な計算では安全率を不必要に過剰に見積もらざるを得ず、これではコンピュータがなかった昭和時代のやり方を踏襲しているかのようです。
著書:「送電線は行列のできるガラガラのそば屋さん?」電流を1.4倍にするってことは発熱は2倍になるわけで、結構リスクのある方式。
自然エネルギーを増やすと色んな場所から電気が流れてくるわけだけど、全ての送電網を同じ用に太くするってのが難しいんだろうね。
普通の火力や原子力みたいに大型の発電施設と都心を一本のケーブルで結べばいいってわけには行かない。