メルセデス・ベンツの未来カー。弱点は未来的すぎること

2015/5/21
高級車の雄であるメルセデス・ベンツも、「モータリゼーション2.0」に向けた布石を打ち始めている。2015年3月、ベンツは2030年以降の「未来カー」を披露した。未来カーに試乗したニューヨーク・タイムズのモリー・ウッド記者が、ベンツ流未来カーの魅力と課題を描写する。

自動運転は「解決済みの問題」

自動運転車の技術が長足の進歩を遂げ、人間の介入をまったく必要としない車が5年以内に実用化されると考える自動車メーカーの幹部もいる。運転をする必要がまったくなくなったら、われわれはどのような車を欲しいと思うだろうか。
2015年3月、高級自動車メーカーのメルセデス・ベンツはサンフランシスコの海軍基地跡地で、コンセプトカー「F015ラグジュアリーインモーション」の試験走行を行い、2030年以降の未来のビジョンを披露した。
F015でメルセデス・ベンツが焦点を合わせているのは、自動運転車に必要な技術ではない。テスラ・モーターズの最高経営責任者(CEO)、イーロン・マスクはそうした技術はもはや「解決済みの問題」と見ている。
メルセデス・ベンツはすでに、「S500インテリジェント・ドライブ」コンセプトのような現実的な自動運転車の試作品を発表している。2013年に信号や円形交差点など、都市で運転するような複雑な状況の62マイル(約99キロ)にもおよぶルートを自動運転で完走した。同社は、また自動運転トラックのビジョンも発表した。
F015はレーザーやコンピュータなど自動運転のために必要な技術は備えておらず、人を乗せて前もってプログラムされたルートを走った。

まるでリビングルーム。車酔いの恐れも