【基礎から理解】国会「予算委員会」で予算の話をしない理由
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>政治を巡るあらゆることが「予算に関連がある」との解釈
これでなんでも議論できてしまう訳で、裏では予算委員会の問取りを巡って、ほぼ全ての官僚が待機するという、壮大なムダが生じています。
国会待機を合理化すれば一定程度はムダを削減できますが、国会側でも予算委員会ではしっかりと予算の議論をしていただきたいです。予算書を細かく見ている議員はどのくらいいるのでしょうか??
注目のコメント
記事本文でご説明していますが、予算委がスキャンダル関連の質問が多く(今国会はさらに特殊ですが)、論戦が盛り上がるのは以下のような理由があります。
・専門的で膨大な予算案の内容に踏み込んでいられない。
・与党は調整・了承の上、閣議決定済みのものであり、また野党は、内容を修正できるとは思っていない。
・予算委はNHKで全国放映される。(他にも委員会はたくさんありますが、テレビ放映されるのは、予算委と本会議だけ。)
・一問一答形式なので、論戦ムードになりやすい。総理や閣僚の答弁に対して、質問者はさらにたたみかけることもでき、場が盛り上がる。
ちなみに、予算委は、質問者の周りに与野党の議員がずらっと座っているので、ビジュアル的にも、人間模様が垣間見えます。(画面に映っている人たちは、カメラを直視はしないけど、実は、自分が映っていることを十分意識していて、角度などを調整しながら、座っている人もいます。)
予算案や法律案を作成するのは各省庁であり、国会質疑は、内容への影響という点では、ある意味限定的・形式的ですが、予算や法律が、主権者たる全国民を代表する国会議員で組織される国会で審議され、その議決を経て成立した、という『オーソリティ』は、不可欠かつ唯一のものです。
野党の国会質疑が、批判のための批判に終わるのでは無く、実質的な意義あるものになるためには、政権交代があるかが大きいです。英米のように頻繁な政権交代が想定されていれば、野党が国会で政府の政策を批判し代替案を提案することは、自分たちが政権を担う際にどういう政権運営をするのか具体的に示すことを意味し、より責任感と緊張感が増します。
同様のことは、選挙公約等にも言えて、(一部野党は)「政権交代が起こらないと思っているからこそ、実現不可能な、耳に聞こえの良い政策ばかり並べたもの」ができてしまう、ということにもなります。
いずれにしても、自民党は、今の国民の政治不信に本気で向き合う必要があります。国家予算というのは実に膨大な情報の蓄積を踏まえて編成されます。
歳入、歳出は大変な多岐に渡る項目があります。
そして、橋をつくるとか、兵器を購入するとか、どの項目についても、必要な費用、何年かかるのか、費用が変動する可能性、等々、膨大な専門知識が必要です。
膨大な情報に基づいて多岐に渡る項目で整合性がとれるように数字を割り出す、国家機構が組み立てる巨大で複雑な機械のようなものです。
つまり、素人が口を出せるものではないのです。
あそこの部品は抜いてもいいのじゃないかとか、もっと安い部品を使ってはどうかとか、こういう機能をつけるためにここに自分の考えた部品を差し込んでもいいか、とか、そんなことはまともな良識があれば怖くてできません。
与野党問わず、国会議員には無理です。
できるとしたら、1000人くらいの専門家たちを指揮して巨大で複雑な機械の総設計師が務まる能力のある人だけです。
だから、予算委員会では、週刊誌ネタのような不祥事の話に半分以上時間を取ります。
不祥事で国会議員が入れ替わるとしても、国家機構の巨大で複雑な機械には何ら影響は無いし、そういう話なら特に気兼ねせずにやっていられます。
そうはいっても、国会議員は国民の代表ですから、予算について意見をいう機会はあります。
予算委員会で予算案が通った後、分科会というのが開催されます。
各省庁が8つの分科会で、2日間のあいだ国会議員からの微調整の要請を受けつけます。ある程度の微調整は、この2日間で可能で、整合性がとれるように各省庁が調整してくれます。
その後で採決にかけて、予算案は衆議院を通過します。3月2日がとりあえずの期限になっていて、来年度予算案はすでに3月2日に可決されています。「総理、総理」とスキャンダルを追及する野党と答えに窮する首相。
こういった「政治あるある」の光景はほとんどの場合、衆参の予算委員会で繰り広げられています。
しかしなぜ「予算」委員会でスキャンダルの追及をしているのでしょうか。
予算案成立までの流れから国会運営の性質まで、まとめました。