(ブルームバーグ): 2月の米雇用統計では、雇用者数の伸びは健全さを維持したものの、失業率が2年ぶりの高水準に上昇した。労働市場はなお堅調だが、減速感も見られる。

非農業部門雇用者数は前月までの2カ月間で計16万7000人分、下方修正された。

今回の雇用統計は、労働市場が徐々に減速していることを示した。雇用と賃金の伸びがやや落ち着いたことで、インフレ再燃リスクがそれほど高まらずに米経済が拡大し続ける可能性が示唆された。米金融当局にとっては、年内に利下げに踏み切る余地が生まれる。

雇用者数と平均時給は事業所調査、失業率はより対象の少ない家計調査が基になっている。家計調査は失業者数の大幅増加を反映した。

金融市場では統計発表後に6月利下げ観測が強まった。

米雇用統計、ドルにとっては悪いニュース-市場関係者の見方

失業率上昇の一因は、労働市場に参加したもののすぐに職を得られない人が増えたことにある。 

2月の雇用の伸びは医療や娯楽・ホスピタリティー、政府部門などで特に目立った。

金融政策への影響

米金融当局はインフレ動向を見極める上で、雇用市場やそれが消費支出に与える影響を注視している。2月の米消費者物価指数(CPI)は12日に発表される。労働市場の減速が非常に緩やかであることが利下げを急がない理由の一つだと、当局者らはこれまでに示唆している。  

他の重要なポイントは労働需給と賃金の関係だ。平均時給の伸びは2月に鈍化したが、1月には加速していた。1月の大幅な伸びについて一部エコノミストは、悪天候で平均労働時間が短くなったことを挙げている。

ブルームバーグ・エコノミクスのアナ・ウォン氏らエコノミストは「非農業部門雇用者数は春にかけて伸びが鈍化し続けるとわれわれは予想しているので、米金融当局のリスクバランスは一段と改善し、5月利下げの可能性が開けるとみている」と述べた。

今回の雇用統計は3月19、20両日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合前に入手できるものとしては最後。今月の会合では、インフレ減速の一段の進展を待つため政策金利は据え置かれるとエコノミストらは予想している。

コメリカ・バンクのチーフ・エコノミスト、ビル・アダムズ氏は「2月雇用統計は景気後退を思わせるものではなかった。だが、高インフレの要因となっていた熱を帯びた雇用市場を沈静化させるという任務の達成に、金融当局が近づきつつあることが示唆された」とリポートに記した。

労働参加率は62.5%で前月と同水準。25-54歳の労働参加率は83.5%で、5カ月ぶりの高水準となった。

週平均労働時間は34.3時間と、1月の34.2時間から増加した。 

統計の詳細は表をご覧ください。

原題:US Jobless Rate Hits Two-Year High Even as Hiring Stays Strong、US Feb. Nonfarm Payrolls Rose 275k; Unemp. Rate at 3.9%(抜粋)

(第10-12段落にエコノミストの見方などを追加して更新します)

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