2024/3/7

平凡な広告営業だった私が、世界一の広告会社CEOになるまで

NewsPicks 記者
近年、日本の代表的な企業からも女性のCEOが誕生し、ジェンダー平等な社会に向けて、歩みを進めていると実感できることが増えている。
女性の地位の向上、社会進出という意味では、日本では2010年代に入ってから、女性活躍推進法ができるなど、この分野が改善に向けて加速した結果が可視化されてきている。
ただ、依然として課題は存在する。
世界経済フォーラムが発表しているジェンダーギャップ指数は146カ国中125位と過去最低を更新していることからもそれがわかるだろう。
そこで、3月8日の国際女性デーを控え、NewsPicksでは女性をエンパワメントする特集を組む。テーマは「ザ・シスターフッド」女性の連帯だ。
【シスターフッド】
男性優位の社会を変えるため、階級や人種、性的嗜好を超えて女性同士が連帯することを表すもの。2017年に#MeToo運動が起きるなど、2010年代に入りSNSの普及を背景にして、再び注目が集まるようになった言葉。
一口にシスターフッドと言っても、MeToo運動のように不特定多数の人がつながり、ムーブメントをつくるものから、日常的な女性同士の助け合いや、さまざまな発信により女性をエンパワーメントするようなものまで、そのあり方は多岐にわたる。
今企業においては、「社内から上がってきた女性役員が増えていないことが、一つの大きな課題だ」とジャーナリストの白河桃子さんは指摘する。
女性役員が増えれば、女性社員のロールモデルとなる、育成して引き上げる、などといったシスターフッドが期待できるが、それも急には増えない。
女性はいかにして、自分のキャリアをステップアップさせていったら良いのだろうか。
特集1話目では、世界最大の広告会社の日本法人社長である松下恭子さんを直撃。
広告営業からグローバル企業のCEOを経て、現在の地位まで、いかにして転換点を乗り越えてきたのかを聞いた。
INDEX
  • 最初からエリートではない
  • 自分の意見が自分の価値
  • 「スーパーパワー」への目覚め
  • 他部署の人材を引っ張る突破力
  • 何事も恐れなくていい

最初からエリートではない

──広告営業からキャリアをスタートされた松下さんは、さまざまな企業や業種、役職を経てグローバルCEOや日本法人の社長などを歴任されています。そう聞くと、多くの女性は雲の上の存在だと思ってしまいそうですが‥‥‥。
そんな全然、エリートなんかじゃなかったですよ。
アメリカの大学を卒業して、新卒で入った外資系の広告会社では、最初は日本勤務でした。
当時の広告業界は、「仕事は夜10時からだ」というノリで、朝の4時までお酒を飲んで、ラーメン食べて、朝からまた仕事って感じの毎日でした。
帰国子女の私は、カラオケで「松下、何か歌え」って言われたり、酒の注ぎ方を指南されたりしたのですが、嫌だとかではなくて、全然わからないんです。そのカルチャーが。